【ヤマコウの時は来た!】

 GR賞。2日目特選であれだけ強い先行を見せた原田研太朗を平原康多がひとまくり。ダービー優勝に一番近い存在だろう。対して、単騎というハンディはあったが、存在感をあまり感じなかったのが新田祐大。準決10Rは仕切り直しの一番だ。

 久留米全日本選抜決勝。2段駆けで必勝体勢の脇本雄太-稲垣裕之-村上博幸の近畿勢と堂々力勝負した新田に、またひと回り大きくなった印象を受けた。優勝はマークした渡辺一成だったが、北日本のラインとしての絆が一段と深くなったと思う。昨年の寛仁親王牌決勝と同じ失敗をしなかった。3番手の佐藤慎太郎や4番手の菊地圭尚も納得する走りだった。これで、北日本は新田を盛り上げる機運が高まったと思う。

 人間が走る競輪はやはり感情が支配する。いつも自分の勝ちばかりを意識すると人は離れていく。一緒に走る選手も自分の勝ちを優先するからだ。それは自力選手も追い込み選手も同じことだと思う。

 2月奈良G3の2予、今売り出し中の中井俊亮を相手に、完璧な走りを披露して勝ち星をつかんだ。準決は中井太祐-三谷竜生の地元2段駆けを粉砕。決勝は、浅井康太に優勝されたが、昨年のMVPにふさわしい走りだった。

 準決も京都勢が藤木裕を先頭に川村晃司-村上義弘と続く。奈良G3の準決のような流れになるだろう。そこに、今節好調の郡司浩平や原田と好敵手がそろった。対戦相手のレベルが上がったダービー準決で、どのような走りをするか楽しみだ。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)