3月30、31日の2日間、JR大阪駅近郊の「うめきた2期区域」で行われた「アーバン・バイクロア大阪」。2日目の31日に行ってきました。

アーバン・バイクロア大阪の入場門(撮影・岡田晋)
アーバン・バイクロア大阪の入場門(撮影・岡田晋)

ここまでのいきさつ、詳細は先月末のバックナンバーにありますので、可能なら先にご覧ください。

https://www.nikkansports.com/public_race/keirin/kantoumon/news/201902270000490.html

注目はトラッククリテリウムの「スフィダーレ・クリット」。主催する児玉利文(44=岐阜)も選手として出場しており、前日の予選をクリア。決勝進出を決めていた。開始時刻は午後2時40分の予定。それまで会場を散策してみた。

会場にある外周コースでは、朝からいろいろな種類の自転車レースが開催されていた。コース上にはこんな障害物が設置されていたり、

自転車を抱えて砂利道の上にある障害を越す競技も実施(撮影・岡田晋)
自転車を抱えて砂利道の上にある障害を越す競技も実施(撮影・岡田晋)

トラック2台を向かい合わせにして、その上にコースを置いて、アップダウンを作っているのには、競技初心者には驚きだった。

2台のトラック上を通るレースも(撮影・岡田晋)
2台のトラック上を通るレースも(撮影・岡田晋)

レースカテゴリーも、メッセンジャーの仕事を元に、荷物をチェックポイントに届け続けるデリバリーレースや、通勤するサラリーマンをイメージしたようなスーツ着用限定のスーツレースなどアイデアが多彩で見ている人を飽きさせない。

「スフィダーレ・クリット」を主催し、選手としても参加した競輪選手の児玉利文(撮影・岡田晋)
「スフィダーレ・クリット」を主催し、選手としても参加した競輪選手の児玉利文(撮影・岡田晋)

そんな中、外周コースの内にある特設コースに、観客が集まりはじめた。スフィダーレ・クリットのスタートはもうすぐ。その少し前、児玉選手に話を聞いた。

スーツ姿が出走条件の「スーツレース」も実施(撮影・岡田晋)
スーツ姿が出走条件の「スーツレース」も実施(撮影・岡田晋)

児玉 コースのスペースが限られていたけど、その中で考えてレイアウトを作り、試走してもらったりもしました。初日(30日)は雨だったけど、こんなに人が来るんだ! というくらい集まってくれました。


男子予選3、4位によるレース、女子の決勝、そしていよいよ予選通過12人による男子決勝がスタートした。1周が200メートルほどのコースで、20秒もあれば選手が目の前に戻ってくる。

スフィダーレ・クリット男子決勝、直線からUターンするカーブに向かう先頭集団(撮影・岡田晋)
スフィダーレ・クリット男子決勝、直線からUターンするカーブに向かう先頭集団(撮影・岡田晋)
スフィダーレ・クリット男子決勝、Uターンするカーブをクリアする選手(撮影・岡田晋)
スフィダーレ・クリット男子決勝、Uターンするカーブをクリアする選手(撮影・岡田晋)

そのスピード感に加え、コースを囲むギャラリーがカウベルを手に大声援を送る。ノンブレーキのトラックバイクで、Uターンに近いカーブに突っ込めば落車も頻繁。そのたびに観客からも注意を呼びかける声があがる。レース後は選手と観客がハイタッチしたり、勝者をたたえるウイニングランで祝福の声を浴びたりと、選手とギャラリーが一体になってレースを楽しんでいた。

スフィダーレ・クリット男子決勝、勝者の右腕を掲げ、ともにウイニングランする児玉利文(左)(撮影・岡田晋)
スフィダーレ・クリット男子決勝、勝者の右腕を掲げ、ともにウイニングランする児玉利文(左)(撮影・岡田晋)

児玉 実際、アメリカで行われている形態(レッドフッククリテリウム)とはかなり違い非常にコンパクトで、20周(男子決勝)しても10分そこそこしかかからないんですが、この盛り上がりを考えると、それが日本に合った形なのかもしれませんね。そして、これは競輪にもつなげられると思うんです。

今回、会場には親子連れの姿が目立ち、選手として参加する子供、小さい自転車で場内を駆け回る子供、レース中に黄色い声援を送る子供もいた。「僕もやりたい」と親にせがむ声も聞こえた。一方で競輪界は現在、無観客のミッドナイト競輪が幅を利かせる。もちろんそれもひとつの選択肢。しかし競技者への憧れを持たせるためには、裾野を広げる必要性がある。「スフィダーレ・クリット」を主催し、また競輪選手・児玉利文としても、思うことはあるようだ。

ともあれ、自転車の楽しさを存分に味わった「アーバン・バイクロア大阪」。私もママチャリでいいから自転車にまた乗りたくなった。【岡田晋】