6月開催分から競輪のルールが改正された。詳細についてはJKAの公式HPを参照していただきたいのだが、大まかに説明すると、変更されるのは先頭誘導員に関連する事項と、先行するラインの2番手を回る選手の動きについての制限や罰則だ。

◆先頭誘導員について 

誘導ペースが1周で最大2秒程度速くなる。そして、誘導員が退避(500は打鐘、400は赤板、333は残り2周半)するまでに誘導員を抜くと失格となる。

後ろから上がってきた選手が誘導員の外で止まり、前受けの選手を内に詰まらせる行為も禁じられる。

これらはスタート後のけん制を抑止するためと考えられるが、前にいるラインが有利になる。さらに言えば、前団を取るためには内枠が有利になる。ダッシュ力のある選手が前受けから突っ張ってしまえば、後方のラインが主導権を取るのは難しい。押さえ先行はしづらくなるはずだ。

◆先行するラインの2番手に関するルールについて 

番手の選手は先行選手から2車身以上、車間を空けて後続をけん制してはいけない(脚力差やアクシデントで離れてしまった場合はこれに該当しない)。

さらに後ろを振り返って後続をけん制することにもペナルティーが与えられる。つまり駆けているラインの先行選手を残すための「番手の仕事」がしづらくなる。

番手職人には働きづらくなる時代?(上段左から小倉竜二、渡辺晴智、下段左から村上博幸、成清貴之、松坂英司)
番手職人には働きづらくなる時代?(上段左から小倉竜二、渡辺晴智、下段左から村上博幸、成清貴之、松坂英司)

改正前は番手の選手が車間を空けてけん制したものの、結果的に先行選手を差し損ねるシーンが何度も見られた。番手の選手から車券を買っていたファンは怒って当然だし、不信感を持たれても仕方がない。ルール改正は、その事象への措置と考えられる。

4、5月は南関東地区でS級の取材が続いた。その際、数人の選手とこのルール改正について意見交換をした。

多くの選手が「圧倒的に内枠が有利だし、枠順に関して相当な不平不満が出るでしょう」と言っていた。他にも「競輪がケイリンになってしまう」や、「今後はラインのない競輪に向かっていくのでは?」という意見もあった。

番手選手が先行選手を必死に守るプロの技は、競輪の醍醐味(だいごみ)の1つ。それが見られなくなってしまうのは寂しい。今後、レースがどのように変化していくのか、注意深く見守っていきたい。【松井律】