数々の修羅場をくぐってきたとは思えない温厚さと、面倒見の良さを持ち合わせる佐古雅俊(59=広島)には常に人が集まる。

「佐古さん60歳なのにすごいですね」、「失礼な。まだ59や」。検車場はいつもこんなやりとりで笑いに包まれている。

「今は練習グループの後輩たちの成績を見るのが楽しみ。S級のやつらはいいけど、A級におる隅田幸助、細川貴史、才迫勇馬なんかは放っておけない。あいつらがS級に上がるまでは、イモを引くわけにはいかないね」。

自分の勝ち負けには、若いときのような執着は少なくなった。今は心から競輪を楽しんでいるように映る。

「自分が勝つための努力をするのは40歳まで。その後も続けるには、励みを見つけることやね」。

だから40歳を過ぎた選手ほど、佐古のすごさが分かる。西日本の長老の周りには、今日も暖かい空気が流れていた。【松井律】

来年還暦を迎える佐古雅俊は今でも元気いっぱい
来年還暦を迎える佐古雅俊は今でも元気いっぱい