無事これ、名ガールズなりっ-。12日に最終日を迎える立川F2に、ガールズ1期生3人の元気な姿があった。

小林莉子(28=東京)と飯塚朋子(42=奈良)、渡辺ゆかり(40=山梨)はそろって12年7月のデビューから10年目を迎えた。小林が賞金ランク3位と頂点に近づくなら、飯塚と渡辺はもうひと花を咲かせようと、ペダルに力を込めている。

自己新の5場所連続Vを目指して決勝に挑む小林莉子
自己新の5場所連続Vを目指して決勝に挑む小林莉子

今回の【敢闘門】は、ガールズのパイオニアとして戦ってきた3人の出走回数にスポットをあてる。すると、あらためて三者三様の走りっぷりが見えてくる。

予選を連勝し手応え十分で決勝を迎える小林莉子
予選を連勝し手応え十分で決勝を迎える小林莉子

小林莉子の出走回数は、後にお伝えする飯塚朋子に次いで2番目。そして通算782走目となる初日に初体験があった。残り1周で内側に並走した選手と接触して、左足のクリップバンドが外れたのだ。パワー全開といかない状況に「左足は引いては駄目、押すだけ」と自らに言い聞かせ、安定したペダリングから大外を強襲して勝った。自己新になる4場所続けて優勝中で、絶大な人気に応えたこともあり「落車の他に、バンドが外れるなんて初めて。よくしのいだ」と安堵(あんど)した。

百戦錬磨。とっさの事態に対応する力は、ほとんど休まないで走るうちに備えた。好位をさばいて、まくる。この勝負手は落車が付きまとう。そのリスクを強い気持ちではねのけてきた。鎖骨を骨折しても、手術からすぐに自転車にまたがり、1週間後の戦いに挑んだこともある。「あっせんがあって欠場は2回しかない。だって、最初のガールズ開催は平塚と京王閣、松戸だけ。1カ月に2場所走れるかどうか。賞金が7万円ちょっとの時、アパート代より少なかったんです。今でも部屋に賞金表を貼って、あの頃を忘れない。いただいた配分は出る」。今なお、進化するには理由があった。生まれ故郷の静岡で行われるガールズグランプリ(12月28日)制覇を胸中に秘め、小林は勝負の秋冬へ集中力を高めていく。

ガールズ最多出走を更新する飯塚朋子
ガールズ最多出走を更新する飯塚朋子

飯塚朋子の最多848走は、自身もとうに気付いていた。マークや追い込みを主にして戦い、やはりこれまで落車が付きまとった。「もう皆勤賞でしょ(笑い)。落車しても大きなけがにならなかった。私はアスリートとしては瞬発力とか低いけど、ケガしない体があるのはひとつの武器」。

ただ、もちろん、競走得点が代謝ラインの47点を割る状況に危機感がある。「最多出走をまずは1000まで伸ばしたい。そのためにも、50点近く取れるよう頑張る」。勲章を光らせる努力が続く。

渡辺ゆかりは通算700走目の最終日へ気持ちを高ぶらせた
渡辺ゆかりは通算700走目の最終日へ気持ちを高ぶらせた

渡辺ゆかりは、記者から最終日が通算700走目と知らされた。わずかに目を潤ませた。「えっ、700走にっ!? そんなに多く走ってきたんだ。走り続ける。何かを続けるって大変で大事。今まで両方の鎖骨を粉砕骨折したり、右の肩甲骨は陥没骨折という風になり、そのまま完治しない。かなり休んだりもした。恐怖感がある。スピード差や並走とかで。でも、ガールズケイリンは面白い。実は暑い夏場が苦手で、大好きな秋冬になったら気持ちも乗ってくると思う。最終日もしっかり走って何かをつかみたい」。

スピードスケートでソルトレーク、トリノと2度冬季五輪に挑んだアスリート。プライドに懸けても、まずは代謝制度から逃れようと必死に戦うつもりだ。

104期でただひとりランク上位入りした小坂知子も立川で奮闘している
104期でただひとりランク上位入りした小坂知子も立川で奮闘している

※ガールズ出走数ランキング上位(11日終了時=★104期小坂を除く他は102期)

1位=848走 飯塚朋子

2位=783走 小林莉子

3位=769走 門脇真由美

4位=763走 藤原亜衣里

5位=760走★小坂知子

6位=753走 増茂るるこ

7位=751走 白井美早子

8位=740走 野口諭実可

9位=726走 荒牧聖未

10位=723走 中村由香里

 ……………

14位=699走 渡辺ゆかり