黙っておれん! 日刊スポーツ評論家の中野浩一氏が、激闘の日本選手権(ダービー)後に「ザ・提言」を緊急寄稿した。コロナ禍に危機感を抱き、年末恒例の「ザ・提言」を待たず、競輪界に活を入れる。2回連載の初回は、相次ぐ落車事故防止への提言だ。

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コロナ禍は1年以上続いている。その分、在宅時間や無観客開催が増え、ネット投票を中心に売り上げは伸びている。それにしても、だ。いざ日常が戻ったとき、本当に競輪がレジャーとして支持されるのだろうか。危機感を覚え、思わずペンを取った。

2年ぶりに開催されたダービーは松浦悠士の初優勝で終わったが、相変わらず落車は減らなかった。しかも、大けがにつながるような危険な落車があった。これに限らず最近は、特に審判が落車事故が起きても失格の判定をしないケースが多いと感じている。

何度も口にしているが、競輪にはルールがある。押し上げや斜行はもちろん、内側追い抜きなどのルールがあるのは、公正安全なレースのためではないのか。落車が起きた時、本当に誰も斜行していないのか? 真っすぐに走っていないから落車が起きる。それ以前に、落車がなくても違反は違反という走りがある。その場合は失格にするべきだろう。また、最近目につくのが、内外線間を走る選手に差し込んだり、空いていないのに内に入っていく行為。追い抜くときに外帯線を外したらセーフなんて、そんなルールは書いていないはずだ。

審判は厳しく失格を取るべきだ。どちらが悪いかを判定するのは審判の仕事。「どっちも悪くない」のに落車が起きることは、ない。ファンは落車で車券が紙くずになる。判定を厳しくすることで選手の走り方も変わる。それが事故防止につながる。このままだと、今に取り返しのつかない事故が起きると危ぶんでいる。

【落車を誘発する主な反則】

▼押し上げ=相手を外側へ押し上げる

▼斜行=斜めに走って他の選手の進路を妨害する

▼内側追い抜き=外帯線の内側を前走する選手をさらに内側から追い抜く

▼押圧=相手を内側に押し込む