【ヤマコウの時は来た!】

 龍虎賞は、まくった新田祐大が勝ち、武田豊樹が続いて1番人気で終わった。単騎でも、新田がそこまでの人気になるということは、競輪ファンから今一番信頼される選手になったということだ。

 その信頼されている選手の2番手を走るのが佐藤慎太郎。ギア規制後、再び輝きだした選手の1人だ。最近のインタビューでも、軽い感じで話すのは変わらないが、内容に前向きな発言が増えてきた。そのあたりを本人に直撃すると、やはり大ギア全盛の頃は、練習するにしてもモチベーションが上がらなかったと言う。小柄な選手は(背は低いが筋肉量はすごい)、大ギアはかなり不利な条件だ。そこで、少し諦めてしまう自分がいたらしい。それでも、ギア規制が決まってからは自分はやれると確信していた。

 今年に入って、大ギア時代前の慎太郎らしいシャープな差し足、鋭い横の動きが戻ってきた。他のマーク選手も頑張っているが、慎太郎のような選手が増えてくると、もっと競輪が面白くなると思う。自力型が脚光を浴びることが多いが、競輪の醍醐味(だいごみ)であるマーク争いが増えるとレースの楽しみが倍になるのだ。横の動きは一朝一夕に体得できるものではない。慎太郎の果たす役割は重大だ。

 レースは、元同県の後輩鈴木謙太郎や、復調急な深谷知広、単騎の石井秀治が対戦相手だ。それでも新田が主導権を取れば、慎太郎のブロックで北日本の上位独占が濃厚だと思う。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)