松浦悠士と清水裕友は、やっぱりすごい。不利な展開を自らの力を出し切って決勝進出。2人の底力を見た。あと、佐藤慎太郎も素晴らしかった。深谷知広の番手をさばいて、なおかつ小松崎大地を迎え入れてワンツー。これがラインの姿であり、信頼関係が深まる連係だった。

決勝の松浦-清水は、山崎賢人が単騎になったことで組み立てやすくなった。山崎に稲川翔が付くと、山崎のカマシを警戒しなければいけないが、単騎になったことで、松浦を先行で苦しめようと挑む先行選手はいなくなった。相手は先行もできる自力選手。これなら松浦ラインは先行できる。そして、松浦-清水の後ろを回れる稲川にとっても、地元優勝の大チャンスがやってきた。

ヤマコウは通算300勝を達成した稲川翔の大会2度目のVに期待
ヤマコウは通算300勝を達成した稲川翔の大会2度目のVに期待

準決は目標とする野原雅也が打鐘で落車。ここで気持ちを切り替えて、バック3番手からまくったのはさすがだと思った。普段の積み重ねが、大一番での勝負度胸となって返ってくる。BMXで鍛えた自転車を操る力は、今の競輪には必須だと思う。だから、私はこれから競輪選手を目指す子どもたちには、自転車競技よりBMXを勧めている。競技をする子どもたちに夢を与える意味でも、稲川には頑張ってほしい。(日刊スポーツ評論家)