2予Aは濃いメンバーがそろい、一瞬の油断がレースの勝敗を分けた。9Rは、町田太我と山崎歩夢の主導権争いを嘉永泰斗がまくった。山崎は新田祐大、渡部幸訓と続いたので先行意欲が強く、外からたたく町田は、まず前に出なければ勝負にならないと考えた末の先行争いだった。俯瞰(ふかん)して見ると町田にはまった山崎の番手まくりだが、そこには渡部の仕事ぶりが大きかった。浮かされそうな町田の位置を作ろうと清水裕友が内側を見た瞬間、車間距離が空いて渡部が清水をさばいた。本当に見事なアシストだった。

ヤマコウは準決12Rで玄人受けする渡部幸訓に注目した
ヤマコウは準決12Rで玄人受けする渡部幸訓に注目した

タテ足だけのレースは迫力こそあるが、どこか物足りない。名脇役がいるからこそ主役が輝く映画と同じだ。初日は中野慎詞を8分の1輪、差し切れなかったが、ギリギリまで待ち、ゴール直前にとらえる計算だったのだろう。勝つことだけを優先すれば、隙が生まれてラインでのワンツーを逃した可能性もある。ラインで人気を背負っている以上、最後までラインで決めることを優先した結果だったのではないか。ただ、それでも渡部の想像を上回るほど中野が強かった。1着で買ったファンには悔しい結果だったが、そんな背景もあったように感じた。

派手さはない。しかし、渡部幸訓はレースを締め、主役を引き立てる重要な役割を担う選手であるのは間違いない。準決12Rは動きがいい中野慎詞がいるだけに楽しみだ。