19年のG1戦線の開幕第1戦「開設66周年記念G1全日本王座決定戦」が15日から芦屋で行われる。18年の賞金王に輝いた峰竜太を筆頭に、峰とともに18年のSG戦線を引っ張った毒島誠ら、銘柄級の選手がずらりと並んだ。地元勢も巻き返しを期する瓜生正義を中心に、岡崎恭裕、篠崎仁志ら豪華布陣。19年、飛躍を期する羽野直也に、18年8回Vの松田大志郎にも注目だ。

羽野直也が、ひと回り大きくなって芦屋周年に帰ってきた。18年は6つのSGに参加し、ボート界をリードするレーサーとしのぎを削ってきた。

羽野 18年はすごく勉強になりました。苦しいと思っていたけど、モチベーションが高かったから苦しかったんだって、今では思います。

夏場は調整が合わないことなどから余裕をなくし、焦った結果フライングになってしまったりと、悪循環に陥っていた。調子を上げられずに苦しんでいた。

羽野 今も調整が完璧だと思うことはないですね。でもSGを戦って、調整面だったり、スタートの仕方を学べました。フライングを切ったときはスタートの質も低かったと思います。もっと安定していいスタートが行けるようになればチャンスがあります。

周年直前の正月戦では、整備しても反応が全くないほどの低調機を引いてしまい大苦戦。機力不足は明らかだったが、悲観することなく戦った。

羽野 悪いエンジンだったけど、スタートで持っているように見せられた。道中は良くなかったけど、そこまでの間は戦えました。

伸びも厳しい状態だったが、質の高い全速スタートでカバーし、スリットで1人だけ下がってたたかれるようなケースはなかった。そして展開があればしっかりとものにしていた。

羽野 強い前付けに来る選手がいても、それが勉強になりました。起こし位置とか仕掛けとかがだいたいつかめれば、次からしっかりスタートが行けるようになります。

ひと筋縄ではいかない強力なメンバーばかりが集まる環境でもまれながら、得られるものを吸収して成長してきた。一般戦ほど簡単に結果が残せない分、勝率や成績は伸びていないが、それを冷静に受け止める精神力も磨かれてきた。

羽野 去年までは結果が出ずに苦しかったけど、今は落ちるところまで落ちたのかなって思ってます。最近は5節中4節くらい出てないエンジンを引いているんですけど、それも勉強の期間なのかな、って思えるようになりました。もうここから上がるしかない、って思います。去年までだったら多分へこんでいたと思う。一昨年みたいに上がり目のときもあったし、去年みたいに下がり目になることもあって。今までは過去を見てたので落ち込んだりしていたけど、前を見るようにして、目の前のレースに集中しています。

以前からしっかりと自分の考えを持った芯のある選手だったが、最近は小さなことでは動じない人間としての大きさも感じさせるようになった。以前はSGという新しい舞台で戦えることに瞳を輝かせていた選手が、今はそこを主戦場にする覚悟を決めている。

羽野 去年の最初はSGで今までやってきたことが通用するか試すつもりでいってました。でも今ならそれがSGでも通用する自信があります。

苦しみながらもそれを糧に成長したからこそ、力強く答えられる。

羽野 とにかく強くなりたい。勝率とか数字にこだわるより、記念をずっと走り続けないといけないと思います。そこで結果を出し続けることが目標です。

今年最初の周年で実力を示す。地元水面に特別な気合も入っている。

羽野 芦屋はファンのために頑張るしかないと思います。地元なので走り慣れているし、6コースとかも好きなコースに入ります。

19年、ここから羽野の快進撃が始まる。

◆羽野直也(はの・なおや)1995年(平7)3月29日、福岡県生まれ。114期生として14年5月の若松でデビュー。16年7月芦屋で初優勝。17年10月の大村周年でG1初優勝を果たした。同期には松尾拓、西野雄貴、村松修二、中村桃佳らがいる。166センチ、54キロ。血液型AB。