下関ボートのG1第62回中国地区選手権が17日から開幕する。地元の白井英治を筆頭に昨年の覇者・前本泰和、一昨年の覇者・茅原悠紀が初日ドリーム戦の1~3号艇を占めシリーズを引っ張る。下関の正月戦で、その白井を相手にインから逃げ切って優勝の原田篤志もG1初制覇へ気合の走りを見せる。

原田篤志にとって、悲願のG1初制覇へ機が熟した、と言っても過言ではない。地元水面では抜群の戦歴を誇る。特に下関ナイターが始まってからの活躍は目覚ましく、近況は3節連続で優勝中だ。

そのいずれもが、複勝率が高いエンジンや実績機を引いたわけではない。念入りな整備とペラ調整でしっかり合わせ、そのエンジンに合わせて出足型、バランス型、伸び型と高いレベルで仕上げている。地区選が現行エンジンの使い納めになるが、実績機を引けばもちろん、数字のないエンジンでも、原田の調整力なら心配は無用だ。

その原田の唯一とも言える弱点がメンタル面。とにかく人に優しく、面倒見がいい。下関参戦時は常に選手班長。競走をつかさどる部署との調整や、報告書類に、辞書を引きながら格闘する姿を何回も目にしてきた。「これぐらいしかできませんからね」と謙虚な姿勢もブレがない。

原田が、精神面でたくましさを見せたシーンが当地正月シリーズだった。1号艇を勝ち取った原田に対し、2号艇に海野康志郎、そして3号艇に白井英治が控えた優勝戦。エンジン面でも、引けを取ってはいなかったが、ピット離れから堂々たる立ち居振る舞いで、難なく逃げ切ってみせた。

優勝インタビューでも驚かせた。「目標にしていた白井(英治)選手に勝てて自信になりました。下関を走るときは常に狙ってます」と優勝宣言まで飛び出した。白井に憧れて減量にも取り組み、その白井を破っての優勝に胸を張った。ここまでG1で4回優出し、実に準優勝が3回。最も得意な舞台で、今度こそ悲願の初制覇を果たしたい。

◆原田篤志(はらだ・あつし)1979年(昭54)10月31日、山口県生まれ。00年5月、86期生として徳山でデビュー。その節の4走目で初白星を挙げる。初優勝は07年11月の住之江。G1は14年10月の下関周年で初優出。15年10月浜名湖ダービーではSGで優出(3着)も果たしている。通算優勝は20回。同期は吉田俊彦、萩原秀人、中村亮太、森永淳、中野次郎ら。160センチ、53キロ。血液型O。