【松井律・競輪黙示録 スペシャル】

誰よりも競輪を愛し、誰よりも競輪ファンに愛された男・平原康多は、競輪漬けの毎日が楽しくて仕方がない。

「競輪を忘れて何かをすることがない。オフもないけど、苦にならないんです」。趣味と実益を兼ねた“天職”だから、ジレンマに向き合う時間すら楽しめる。リフレッシュをする必要がないのだ。

その姿勢は、ファンの心にも響く。今年も堂々のファン投票1位に選出された。「本当にありがたいですね。でも、今年で最後ですよ」。このフレーズは、昨年も聞いた気がする。

流行は、作る者と追いかける者がいるが、平原は間違いなく前者だ。競輪場の給品部では「平原が使い始めた部品は売れる」が定説になっている。あわてて大量に仕入れた時には、すでに平原が違うものを使っていて、大量に在庫を抱えてしまった、なんて逸話もある。「昨年は10台ぐらいフレームを作ったし、今年も同じぐらいのペースですね。部品もとにかく気になったら試してみるんです」。あくなき探求心と、少年時代から変わらぬ好奇心が、物事を見極める力となる。

西武園でのG1は、08年12月の全日本選抜以来、14年ぶり。「前回は記憶にも残らないぐらいパッとしなかった。今回は頑張りますよ」。直前の弥彦G3準決は、目標選手が落車をすると、瞬時に先行策へ転じた。あの対応を見て、今大会の活躍を確信した。

ドリームレース10Rは、ひと皮むけた吉田拓矢を利して、好発進を決める。(2)-(5)(6)(3)(8)-全の計28点。

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