【松井律・競輪黙示録 スペシャル】

この1年の宿口陽一は、栄光と屈辱がぐちゃぐちゃに混じり合った。初タイトル(21年高松宮記念杯)からKEIRINグランプリまでは、やるべきことに集中すれば良かった。

今年に入ると、SS班の重圧が重くのしかかり、大事な場面では落車も続いた。

兄貴分の平原康多は、この状況を15年間も続けている。「同じ位置に立って、こんな大変なことをずっとやっているのかと、改めて恐ろしくなりました」。

思うような結果は残せていない。それでも、罵声も非難も真っ向から受け止めた。この地元G1を逆襲の舞台ととらえ、こつこつと爪を研いだ。

「今年一番の仕上がりです。自転車、セッティング、シューズ、全て試してベストな状態にした。自分が前で平原(康多)さんを男にするという思いもまだかなえていない。この舞台でそれができたら最高です」。

時は来た。10Rオリオン賞は、真杉匠とのタッグで挑む。昨年はこの2人の活躍が、関東ラインに大きなうねりを巻き起こした。真杉は誰にも主導権を渡さない。最後は、宿口がたまりにたまった鬱憤(うっぷん)を差し足に込める。

(6)-(8)(1)(3)(4)-全の計28点。

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