村上博幸(43=京都)が兄・義弘の引退表明を受けて、現在の心境を語った。「(引退を)聞いたのは少し前。2日前にバンクに練習に行った時も(義弘の)自転車がかけてあったし、突然過ぎて今でも整理し切れてない」と偽らざる本音を吐露した。

家族でありながら、苦楽をともにした師弟という、特別な間柄。「厳しかったが、兄がいたから自分がある。自転車に乗り始めたころから憧れだし、いまだに変わらない」と畏敬の念を口にした。

兄との思い出のレースを「初めて一緒に走った(07年)共同通信社杯や、ダービー、グランプリ…。忘れられない後ろ姿を感じたし、14年のダービー(兄弟連係で兄が優勝)は、気持ちがたかぶったし、目に焼き付いている」と、かみしめるように振り返った。

博幸にとっては、ここから先も厳しい戦いは続く。1月大宮G3の落車で肩を負傷。半年にわたる戦線離脱を余儀なくされた。「出走回数不足でG1にも出られないし、自分の中では気持ちをリセットして、怖いものなしで頑張れている」と前を向く。

初日特選12Rは「強い選手と走って、今のバロメーターが測れる」と、松浦悠士の番手回りを選択した。気持ちを切り替えて目の前の一戦に挑む。