平成生まれで初のSG覇者が誕生! 磯部誠(32=愛知)がイン速攻で、猛然と追いすがる石野貴之(41=大阪)を振り切り、悲願のSG初優勝。2着は石野、3着は坪井康晴(45=静岡)。

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ついに、平成生まれのレーサーがSGの頂点に立った。大歓声に包まれながらのゴール。そして、両腕を高々と挙げてのガッツポーズ。ピットに帰投した際は、さすがに感極まったそうだ。「うれし涙なんか絶対流すことないと思ってたけど…。いいものですね」。

決して楽な勝利ではなかった。それもこれも超抜パワーを誇る石野貴之の存在があったからこそ。優勝戦は石野対策もあって、伸びを意識した調整を施した。しかし、「準優の方が自分の好きな感じでしたね」と、ちょっぴり反省。道中も緊張感に支配された。「何か、体が言うことを聞かなかった。セーフティーリードと思ってたけど、むっちゃ(石野に)追い付かれた。3周2Mは本当に大事に回りました」と振り返った。

平成生まれで初となるSGウイナー。実はその事を4日目に知った。「椎名(豊)に確認したら、昭和生まれですって。これは記事になるなって思いました」と周囲を笑わせた。

昨年、初めてグランプリに出場。燃え尽きた訳ではないが、だらけてしまった自分がいた。見かねた知人から5月の平和島周年を走る前にはっぱをかけられた。「気持ちを入れ直して頑張ろうって。そこから成績が上向きました」。

これで2年連続のグランプリ出場は“当確”。しかし、決して浮つくことはない。「僕はこつこつ1歩ずつやるタイプ。1走1走が勝負だし、その日に来てくださったお客さんの小遣いを増やすのが仕事ですから」。誰よりもファンを思うヒーローが、これからも泥臭くボートレースを盛り上げる。