今回もやはり推すのは4番車。真杉匠よ、またあの強襲劇で魅せてくれっ!
日刊スポーツ紙上で展開する「野島成浩 こう成る こう成れ」がWEB版として登場。今日16時30分に立川競輪で発走の「KEIRINグランプリ2023(GP)」を予想する。
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19年の佐藤慎太郎から和田健太郎、古性優作と3年続けて4番車の優勝を的中し、昨年は同じ4番車の守沢太志を狙って敗れている。汚名返上や失地回復などリベンジの文言が頭に浮かぶ。
その思いを託すのは真杉。勢いやリズムは最高潮だろう。今年は5月に念願の地元宇都宮G3優勝を飾り、8月オールスターで初タイトルに輝くと、11月の競輪祭も制してG1を2勝。夏から秋、そして冬と、季節を追うごとに栃木エースから関東エースへと格を上げた。さらにGPに4番車で臨むことが決まると「4はいい数字」と頼もしいセリフを言うじゃありませんか。今年の収支をトータルプラスに変えるには、この超成長株に託すに限る。
オールスターは、これまで逃げて関東をリードしてきた功績ゆえの結果だった。吉田拓矢が逃げて、自身は番手。後位に平原康多らを従え、ラインの結束力を生かした。逆に、競輪祭は単騎の自在戦で制し、個の力を証明してみせた。
ミニスランプを乗り越えて今がある。振り返ればオールスター以前から、「車が進まない」という感覚に襲われていた。タイトルホルダーになっても白星ラッシュといかず、失格もした。「こんなんでどうなる? 暮れにグランプリを走るというのに」。練習や調整のリズムまで乱れ、プレッシャーも次第に大きくなる。
そんなある日、作新学院高の先輩でG1グランドスラマーの神山雄一郎と同じあっせん(11月豊橋)で再会。レジェンドから金言を授かった。「雄一郎さんに『引き足が弱くなってない?』と。アドバイスの通りでした。その頃はペダルを踏むことばかりに気がいっていた。引けてないから、もがく距離が短くなっていたんです」。
神山をして「すごい。あれがあるからこそ『先行できる』という話になる」と言わしめる、無類の持久力を取り戻した。他にも次々と課題をクリアしていく。競輪祭に挑む直前は、ホームの宇都宮が改修中でもあり、無風の小倉ドーム対策にと、条件が似た前橋(ドーム)でスピードや切れを強化。これが競輪祭決勝で、上がり10秒9のシリーズ2番時計(1番は初日、2日目に脇本雄太が出した10秒8)をたたき出し、決勝で深谷知広ら南関の作戦レースを打ち破る元にもなった。
さかのぼると、準決では郡司浩平のけん制や古性優作の頭突きにも耐えていた。もうそれは超一流の追い込み屋にも引けを取らない動き。ヨコの強度が増し、「さばける徹底先行」へ進化を遂げた。
今月中旬のとある日、その姿は宇都宮バンクにあった。今度はGPを争う立川バンクの対策を打ち出す。「本番はこんな感じかな」と言ってはニヒルに笑う。強い風が舞うように吹き、夕暮れには気温が5度近くまで下がる。1周500メートルで直線が長く、ウオークトップを塗り替えたばかりの路面は重い。底冷えする立川に似たコンデションをむしろ喜び、関東の各地から集まった森田優弥や菊池岳仁、黒沢征治ら、有望株とともにバンク練習に力を注いだ。
まずは実戦さながらに、オートバイを誘導員に見立てて追う。一列棒状だった9人が次には2列になり、時には並走する隣同士で肩をぶつけ合う。真杉は暴れん坊のような森田を探して競った。スピードが40キロから50キロへと上がってもお構いなし。そうこうして30周を過ぎると、力尽きた他をよそに真杉だけが走り続ける。
しばらくすると、「みんな次っ、次っ」とバテ気味の他を鼓舞して再びバンクに駆り出す。今度は3人が1組になり、50キロのオートバイを追い抜き、直後に60キロに飛び付く。この動きを繰り返した。1人では80キロをスイスイと追う。この合間には、セッティングを試行錯誤する菊池に目をやり、「おなかを意識するといいかも。それで、周回で楽にペダルを回せる。そうでないと、脚力が削られて勝負どころで苦しい」とアドバイスした。一方で自身は涼しげな表情。午前に街道で乗り込んだことなど、遠い昔のよう。無尽蔵のスタミナが内容の濃い練習に耐え得る原動力なのだ。
負けず嫌いで、何かが気になればとことん突き詰める性格。研究熱心。強くなろうと一心な姿に、同期を始め、多くの若手が引き寄せられる。「これまでフレームは27本作り、今2本をオーダー中」。自転車乗りに適した高い背と、長い手足を生かそうと工夫を凝らす。フレームは若手ばかりか他地区のベテラン選手にも貸し出し、乗り味を確かめてもらった。他選手の乗車フォームを凝視してはまねてみる。お尻をサドルの前方に出す、反対に後方に引く。同時に踏み出しも鋭くしようと、何度もフォームを変えた。そして試行錯誤が一段落し、隙がほとんどなくなってきた。
S級に特昇した直後は武田豊樹から先行の大切さを説かれ、ビッグ戦線の常連になった頃には平原康多に組み立てなど助言を求めた。そして、神山の言葉で我に返る。S班の先輩たちから関東エースの気構えを吸収した。立川GPは集大成を表す場だ。
展開は突っ張り先行を仕掛ける新山響平に、手堅く出切りたい脇本雄太が襲いかかる。真杉はこの攻防の隙に、清水裕友や山口拳矢をさばいて前団に位置。そして最後は競輪祭のように弾丸差しに打って出る。(4)-(1)(3)(6)-(1)(2)(3)(5)(6)(9)。計15点。





















