日本代表は6月6日に国立競技場でブラジル代表との国際親善試合に臨む。FIFAランク1位のブラジルは現状のベストメンバー27人が来日予定。そのチケットは「プラチナ化」しているが、過去の国際Aマッチ通算対戦成績は日本の2分け10敗と未勝利。12試合で計5得点、34失点を喫しており、厳しい戦いが予想される。
特にエースFWネイマール(30=パリ・サンジェルマン)には4試合連続で計8失点。日本との国際Aマッチ通算ゴール数は歴代最多となっており、過去77度の対戦がある韓国代表のレジェンド、車範根の6点を上回る。順調なら史上最強の「日本キラー」が改修後初となる国立のピッチに立つことになる。
2014年10月14日にシンガポールで行われた国際親善試合(0-4)では、当時22歳のエースFW1人に4ゴールを奪われた。前半18分の先制点から右足で2点、左足とヘディングで各1点のパーフェクト・ハットトリック。
「どのゴールも満足している。計り知れないほど、うれしい。こんなことが起こると誰が思った? 僕は、僕の限界がどこにあるのか分からない」。
日本が1人に1試合4得点を奪われたのは史上3度目で、1936年のベルリン五輪でのイタリアのビアッジに喫して以来、実に78年ぶりの屈辱だった。
相性というよりは単なる実力差か。過去にはオーストラリア代表FWケーヒルに通算10戦5発、アルゼンチン代表FWバティストゥータ(3戦)、イラン代表FWアリ・ダエイ(6戦)に通算4点を許すなど日本の「天敵」と呼ばれた選手はいた。それをサッカー王国の背番号10は初対戦から4試合で8ゴールをマークし、あっさり塗り替えた。
ブラジルは日本戦の前の6月2日にソウルで韓国代表と対戦する予定。韓国の対ブラジル戦は通算1勝5敗と金星が1つある。ネイマールには2013年10月12日のソウルでの国際親善試合(0-2)で1ゴールを許して敗れているが、1999年3月28日の対戦で当時J1神戸のFW金度勲が0-0の後半45分に決勝点。劇的勝利に6万人が集まったソウルの蚕室五輪スタジアムは歓喜に包まれた。
「日本キラー」1人を封じれば何とかなる相手ではないかもしれないし、FIFAランク1ケタ順位の国との対戦は通算40試合でわずか4勝。超満員の新国立を沸かすのはW杯最多5度の優勝を誇るカナリア軍団の華麗なプレーか? これまでのように一矢報いただけではW杯8強は望めない。
【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)
〈国際Aマッチ日本戦の通算得点ランキング〉
▼8得点
ネイマール(ブラジル)
▼6得点
車範根(韓国)
▼5得点
ケーヒル(オーストラリア)
朴成華(韓国)
アブドル・ガニ(マラヤ=マレーシア)
▼4得点
L・ヤーン(オランダ領東インド)
カルロ・ビアッジ(イタリア)
セン・ペ(ビルマ=ミャンマー)
朴利天(韓国)
黄善洪(韓国)
トム・マッコール(オーストラリア)
アリ・ダエイ(イラン)
バティストゥータ(アルゼンチン)
▼3得点(※主な選手)
フォルラン(ウルグアイ)
クローゼ(ドイツ)
アラー・フバイル(バーレーン)
クリス・ウッド(ニュージーランド)
ベラスケス(ホンジュラス)
サロモン・ロンドン(ベネズエラ)
◆日本戦通算得点
上記のランキングは日本サッカー協会の資料で判明している限りの集計。対戦相手の得点者「不明」が35点ある。ただ、対戦国の連盟、協会の資料や日刊スポーツの過去紙面などでは、その得点者が明記されている試合もある。それらも含めると、1950~60年代にマラヤ(マレーシア)で国際Aマッチ通算60得点以上を記録したFWアブドル・ガニが日本戦ではネイマールの8点を上回り、少なくとも9点以上をマークしているようだ。
また、日本と韓国では国際Aマッチの認識に違いがあり、JリーグのC大阪と柏でプレーしたFW黄善洪は日本の集計では対日本戦4点だが、韓国のAマッチ基準では日本の世代別代表との試合を含めて通算5点を挙げたことになっている。ちなみに、日本の国際Aマッチ韓国戦の最多得点者は釜本邦茂で7点。2位が永井良和、中山雅史、カズ(三浦知良)で3点。