アジアサッカー連盟(AFC)は3日、27年1月にサウジアラビアで開幕予定だったアジア杯開催の1年延期を発表した。中東情勢の悪化で開催が危ぶまれていた。新たに27年12月23日~28年1月21日の日程で国際サッカー連盟(FIFA)に提案し、承認待ちとなっている。これに伴い森保一監督(58)は年内の活動をもって退任となり、来年3月からU-21代表大岩剛監督(54)が兼任する見込み。ただしロサンゼルス五輪予選を兼ねたU-23アジア杯(28年1月4~22日、日本開催)と重なるため、大岩監督がどちらの指揮を執るのか、さまざまな問題が浮上している。

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スポーツは社会情勢に左右されるもの。覚悟していたとはいえ、森保ジャパンが集大成を迎えることなく、年内で活動を終えることとなりそうだ。当初11月18日にタイで行われるAFC理事会で大会の可否が決議される予定だったが、早まった。国家間紛争が過熱する中東での開催はあまりに危険だった。

AFC、大会組織委員会、サウジアラビア協会の三者が協議を重ねた結果、1年の延期となった。AFCは「物流の問題、移動の混乱など、現在の状況を踏まえ、日程変更を承認した。全ての参加チーム、関係者、観客、その他の関係者の利益のために延期が必要となった」と説明した。

サウジアラビアは戦時下にある。15年3月から続くイエメン紛争に介入してきたことで、イランの支援を受ける同国の武装組織「フーシ派」による攻撃を受けている。10月10日に首都リヤドの国際空港、同21日にもサウジ東部ダンマームの国際空港が爆破された。両国の応戦は過熱している中、スポーツの大規模大会は新たなターゲットとなるため、とても開催できる状況ではなかった。

日本サッカー協会(JFA)の宮本恒靖会長は「選手、スタッフ、サポーター、メディアの安全を第一に考えたAFCのアジアカップ開催期間の変更について判断を尊重します。私たちは日本代表が大会に向けて最良の準備を行えるよう、引き続き関係各所と連携しながら対応していきます」とコメントした。

地政学リスクとはいえ、これでJFAの計画はすべて裏目となった。まず森保監督だ。日本のランキングを上げるため、アジアで結果を出すことを求められる。そこで歴代最高の勝率を誇る森保監督の半年の続投が決まった。11月のシンガポール遠征を経て、12月30日に大阪で壮行試合(対戦相手未定)まで予定していた。今回の決定で目標がなくなる中でも協会は年内ラスト試合の開催を模索しているが、実施は不透明な状況。集大成となる場がないまま、8年超に及ぶ森保ジャパンは幕を閉じることになる。

そして最大の懸案事項は1年延期されたアジア杯とロス五輪予選の日程が重なること。事前の強化合宿なども含め、大岩監督がA代表とU-23代表のどちらに軸を置くかが焦点となる。

延期による大会の重複で五輪予選は日程変更が予想されるが、丸かぶりが解消されない場合は、大岩監督がA代表を率い、現U-21代表の「懐刀」羽田憲司コーチが代行指揮を執る形で決着するのが基本線のようだ。ただし諸問題が出てくることは必至。特に五輪はアジア枠が前回の3・5から2まで狭まった中、チームの成熟度をより高める必要があり頭痛の種となりそうだ。

今回は大会の延期だけにとどまらない、大きなドミノ倒しだ。30年W杯に向けても暗雲が垂れ込めた。

◆アジア杯 アジア・サッカー連盟(AFC)主催で、4年に1度、アジア王者を決める公式大会。56年に第1回大会が行われ、07年大会からW杯翌年に開催。19年から出場枠が16から24に増えた。過去18度の開催で、最多優勝は日本の4度。日本は自国開催の92年に初優勝し、00、04年に2連覇。最後の優勝は11年。

【解説】来年3月から兼任の大岩監督、世界でも例ない難しい作業 精神的負荷、選手選考もネック