さあ運命の一戦だ。日本が今日31日、6大会連続のW杯出場を懸けオーストラリアと対戦する。勝てば来年6月のロシア大会出場が決まる。バヒド・ハリルホジッチ監督(65)は30日、会場の埼玉スタジアムで公式会見に臨み「必要なのは11人のサムライ。明日、失敗は許されない」と腹を決めた。会見の最後に「アレ ニッポン!(さあ行くぞ、日本)」と、この試合に向け何度も口にしている号令をかけ、日本全体で戦うことを求めた。

 会見場に、いつものようにスパイクを履いたハリルホジッチ監督がやってきた。乾いた靴音は、W杯出場がかかる運命の一戦へのカウントダウンのよう。カメラ12台、100人近い報道陣が埋めたその場で、指揮官はゆっくりと「勝ちにいく」と宣言。落ち着いて話し始めた。

 「もちろん相手をリスペクトしなければならない。ただ、その前に自分をリスペクトしないと。自らの可能性を信じることができなければ、自分を制限し(物事を)不可能にしてしまう。必要なのは11人の侍です」

 信頼を寄せてきた海外組の主力が故障明け。メンバー選考と起用法に頭を悩ませてきた。メキシコとドイツにもトレーナーを派遣。登録の23人より4人も多い27人を招集。本田と香川をベンチ外、つまりスタンド観戦させることも辞さない断固たる姿勢を打ち出し、見極めてきた。

 その本田と香川を先発から外す決断を下したとみられる。関係者によれば、先発には若い22歳FW浅野と21歳MF井手口、調子のいいFW乾や国際Aマッチ出場2試合のMF高萩の抜てきもありそうだ。「いろんな問題があり、変更を余儀なくされたところがある。代えることによって(相手が)知らない選手もメンバーに入ってくる」とにおわせた。

 この日未明、つばぜり合いする最終戦の相手、サウジアラビアがUAEに予想外の敗戦。万が一オーストラリアに敗れても、サウジに引き分け以上で予選を自力で突破できる。好材料だが「状況も決意も変わらない」と目の前の一戦に集中した。引き分け以下なら自身が解任される可能性がある。「明日、失敗は許されない」と腹はくくった。最後は報道陣にも両手をたたいて鼓舞し「アレ ニッポン!(さあ行くぞ、日本)」と大号令。一丸でロシアへの扉をこじ開ける。【八反誠】