西野ジャパンがワールドカップ・ロシア大会へ1歩を踏み出した。日本代表の西野朗監督(63)は21日、東京近郊でガーナ代表との国内壮行試合(30日=日産ス)に向けて本田、香川、岡崎ら海外組10選手(乾を除く)の動きを見守った。公式練習以外の練習取材では普段の倍以上の約150人の報道陣が集結。ハリルホジッチ前監督の解任から、緊急登板となった西野新監督の始動への注目度の高さを物語った。

 黒いキャップをかぶり、シューズはオレンジ。とても63歳には見えない引き締まった体形の西野監督は、さっそうと初日をスタートさせた。心構えを聞かれると「ピッチと日差しに耐えられるかなと」とジョークも、報道陣に見事にスルーされた。

 ベルギー1部リーグのプレーオフ(PO)を戦い、メンバー外のヘントFW久保について「まだPOは続きますので、その行方を見守りたい」と言いながら、すぐにPO終了を指摘されると、あっさりと「失礼しました」と会釈。DF酒井高は「クール。かっこいい」と印象を口にしたが、どことなくつっこみどころ満載の二枚目半キャラでの初日となった。

 ハリルホジッチ前監督が「コミュニケーション不足」を理由に4月に電撃解任された。遅きに失した解任と、代表監督を評価すべき立場の技術委員長が後釜という人事に批判が集中。波乱の中での代表監督初日だったが、西野監督は練習冒頭のあいさつでは「こういう状況ではじまる。ガーナ戦に向けて準備したい」と手短に説明しただけ。今後、目指すサッカーのコンセプトをメンバー27人がそろったところで説明する。乾の負傷や香川、岡崎ら負傷が癒えた選手も散見され、腰を据えてチーム編成に取り組むにはまだ時間がかかりそうだ。

 手始めとして、食事のスタイルをハリル体制下での長机→円卓に、シエスタ(昼休憩)制→自由時間とした。FW原口は「同じ日本人。むちゃくちゃ話し合う必要はない。このレベルならうまく合わせられる。監督が僕に求めることを表現するだけ」と心憎いセリフを吐き、FW宇佐美も「締めるところはピリッとさせるだけじゃなくて、たまに見せる天然なところとか、楽しいですよ」と暴露した。西野監督がチームになじむより早く、選手が監督の心中を察して動きだしている。【井上真】