日本代表MF南野拓実(23=ザルツブルク)が、故郷の大阪で国内A代表デビューを飾る。チームは8日、札幌市内で11日のコスタリカ戦(パナS)に向けて調整。南野は大阪・泉佐野市出身で、実家や友人が4日に西日本を直撃した台風21号の被害を受けた。北海道を襲った地震の影響でチリ戦が中止になった7日に紅白戦で好調をアピール。コスタリカ戦で初先発する可能性が高まり、ピッチで戦う姿で両被災地へ恩返しすると誓った。チームはこの日、大阪に移動した。

南野に国内A代表デビューのチャンスが巡ってきた。大阪へ移動する前に札幌市内で行った練習は軽めだったが、7日の紅白戦では2本とも主力でプレー。持ち味のドリブルで仕掛け、ゴール前へ果敢に入り込む動きを見せ攻撃を活性化した。A代表は15年に2試合に途中出場し、いずれもアウェーだった。故郷での初先発が現実味を帯びる中、「初めて代表で大阪で試合ができる。結果にこだわりたい。練習からもっとアピールして、コスタリカ戦で目に見える結果を出せれば」と得点をイメージした。

4日の台風21号では大阪・泉佐野市の実家も被害を受けた。強風で吹き飛ばされた丸太が自宅ガレージの屋根を直撃し破損。友人宅も被害を受けたと連絡があった。関西空港もいまだ完全復旧しておらず「よく使っていた関空もああいう状態で…」と案じた。3年ぶりに復帰したA代表では、6日未明に地震に襲われた。だからこそ、サッカーができる日常に感謝する思いがより強くなった。「僕はサッカーで戦っている姿を見てもらいたい。今、自分ができることをやるだけ」と、被災した故郷と北海道への恩返しを誓った。

オーストリア1部ザルツブルクに在籍して4年目。週3回、家庭教師を付けてドイツ語の勉強に励み、今季から通訳なしでチーム練習に入り、仲間とコミュニケーションを図れるまでになった。異国の地でたくましくなった23歳は「まだA代表では何も残せていない。ここから残っていけるように、しっかりアピールしたい」と飛躍を掲げた。【岩田千代巳】

◆南野拓実(みなみの・たくみ)1995年(平7)1月16日、大阪府泉佐野市生まれ。セレッソ大阪ユース在籍時の12年11月17日大宮戦でJデビュー。13年にトップチーム昇格。14年ワールドカップ・ブラジル大会では予備登録メンバー。15年1月にザルツブルクへ移籍し、16年リオデジャネイロ・オリンピックに出場。174センチ、68キロ。