女子日本代表「なでしこジャパン」(FIFAランク8位)は、イングランド(同4位)に前半だけで3失点を喫して敗れ、大会初優勝を逃した。

高倉麻子監督は早い時間での失点を悔やみ「やられ方はとてもはシンプルで、ああいう失点をしてしまうとゲームは全て壊れてしまう。全体的な集中力という意味では、今日は本当に抜けてたところもある。(試合の)入り方としては残念でした」と厳しい表情を浮かべた。

日本はインフルエンザなどによる体調不良で主将DF熊谷紗希、MF中島依美ら4人がベンチ外。苦しいチーム事情の中、18歳のFW遠藤純を2トップの一角で起用するなど、先発メンバーには代表経験の浅い若手が並んだ。前半はスペースを消して組織的に守る相手の守備にもてこずり、チャンスらしいチャンスは作れず。連係不足からミスも相次ぎ、相手に主導権を握られると、前半12分にMFスタニフォースの豪快な右足のシュートがゴール右に突き刺さって先制点を献上。相手の勢いを止められず、続く23分、30分にも立て続けに失点して試合を決められてしまった。

後半開始からは4人の選手を投入。遠藤に代えてFW小林里歌子、MF阪口萌乃に代えてMF籾木結花、DF大賀理紗子に代えてMF三浦成美、FW池尻茉由に代えてFW横山久美を送り出すと、徐々にリズムを取り戻した。しかし、何度もチャンスを作りながらもゴールは奪えず。悔しい完封負けとなった。

指揮官は「後半はメンバーを代えた中で、ボールは非常によく動きましたし、シュートまで持っていくシーンというのは増えた」と一定の評価をしつつ、決定力については注文をつけた。「結局、決めきらないと意味はないので。悔しい0-3ですけれども、少しでも隙を突かれるとこういう結果になると選手たちも強く感じたと思うので。これを糧に、またひとつずつ積み上げていきたい」と話した。

イングランドとは、6月のワールドカップ(W杯)フランス大会1次リーグ第3戦でも対戦する。選手からは守備での課題はもちろん、無得点に終わった攻撃面での反省も多くみられた。フル出場したDF鮫島彩は「攻撃面で距離感が悪かったり、奪われた瞬間になかなか奪いにいけなかったり。守備と同様、攻撃面の課題もかなり大きい」と振り返った。今大会で実に7人もの選手が代表デビューを果たしており、連係面での成熟も課題として挙げた。「いろんなメンバーを試す中で、もっと細かい選手間のコミュニケーションは、さらに意識高く持つ必要があるのかなと思います」。

MF長谷川唯も「まずは攻撃だったり、ビルドアップのところをしっかりやることで守備にも生かせる」と話した。昨年2~3月にかけて行われたアルガルベ杯でオランダに2-6で大敗した時などと同様、前半にズルズルと失点を重ねてしまう展開になったことへの危機感も口にし「W杯本番でこういう風にならないように、今までもこういう失点の仕方をしてきたのに、直前の大会でこういう失敗をまたしてしまうのは良くないと思いますけど、これをまた生かしていきたい」。ひとつひとつの課題をクリアし、約3カ月後に控えるW杯フランス大会本番へと向かう。