世界ランキング13位の日本が、同1位のアルゼンチンに0-1で惜敗した。エースストライカー川村怜主将(30=パペレシアル品川)を中盤に下げる布陣で南米の雄の攻撃に対応し、前半は0-0。しかし、後半11分に決勝点を許し、最後までゴールを奪えなかった。アルゼンチンとの通算対戦成績は1分け5敗となった。

敗れはしたが、前へ進める試合だった。個人技を主体に分厚く攻めてくるアルゼンチンに対して、日本は新たなシフトを試した。川村を2列目に下げることで失点を防ぐ。まず、守りを安定させてから攻撃に転じる戦略だ。前線の加藤健人(34=埼玉T・Wings)、佐々木康裕(43=松戸ウォーリアーズ)らがプレスをかけ、川村がフォローする組織的守備が機能した。

「内容がよく、手応えを感じている」と高田敏志監督(52)。故障の黒田智成(41=たまハッサーズ)とブラジルでプレー中の佐々木ロベルト泉(41=パペレシアル品川)の主力2人を欠きながら、ほぼベストメンバーのアルゼンチンと互角に渡り合った。失点は相手GKからのロングフィードをエースのエスピニージョに左サイドから持ち込まれたもの。好セーブの守護神・佐藤大介(35=たまハッサーズ)も防げない強烈なシュートだった。

新たなプレーを求められる川村は意欲的だ。「より高いレベルのチャレンジになりますが、自分は本来、そんなスタイルの選手だと思う」。運動量もコンタクトプレーも増えたが、逆に前線のスペースを生かしたドリブル突破で何度か相手ゴールに迫り、意識的に遠い位置からのシュートも打った。

守備を重視した分、チームとして攻撃でリスクを負いきれなかった反省は残る。川村も「いい試合をしても、負けは負け」と厳しい表情だった。3位に終わったアジア選手権(9~10月、タイ)の準決勝、世界3位の中国戦(2-2からPK負け)でも見せた日本の新たなスタイル。高田監督は「今後、圧倒的な個(人技)を持つ相手には使っていく」と明言。来年の東京パラリンピックへ向けて重要なオプションとして熟成させていく。