「久保の世界」が、さく裂した。サッカー日本代表MF久保建英(20=マジョルカ)が25日、27日に控えるW杯カタール大会アジア最終予選の中国戦、2月1日のサウジアラビア戦(ともに埼玉)へ向けて、オンライン取材に対応。世界で活躍する20歳は冷静に、言葉を発した。

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歯に衣(きぬ)着せぬ物言い。久保は、約100人の報道陣を前にして堂々としていた。オンライン取材ではあるものの、萎縮する様子はなかった。15日の国王杯エスパニョール戦では、芸術的な直接FK弾。日本代表でも20歳のFKに期待は高まるが、持論をよどみなく口にした。

久保 FKって結構、自分も蹴ることが多いので分かりますけど、すごい難しい。本当にトップレベルのフリーキッカーでも多分、年に何本も決められる人はそんなにいないと思うので。そこまで簡単に入るものじゃないっていうのは、世間の人ではないですけど、みんなも多分、認識した方がいいのかなと。

過去の日本代表には名手がいた。中村俊輔、遠藤保仁、本田圭佑…。今回の最終予選では6試合5得点の内、FKでの得点は0。久保に後継者を託したくはなるが、本人は「最近フリーキッカーがいない、いないっていう話、僕も目にしますけど、そこまで簡単にぽっと出てくるものでもない。そこまで簡単に入るものではないというのは、一度みんな認識したほうがいいと思います。(エスパニョール戦で)決めてみて、その難しさを改めて認識しました」と加えた。

試合前に宣言は不要。「負けたら何も意味がない」という思いがあるからこそ、結果で証明する。その上で「結果が一番ですけど、見ていて喜んでもらえるようなプレーも、プロである以上求められる」。埼玉スタジアムに集うであろう約2万人のファンの心に刺さるプレーを見せる。言葉ではなく。

昨年9月8日中国戦以来の代表復帰。10、11月の4試合は、故障で離れていた。今回はDF吉田、冨安が故障でいない。久保は「呼ばれている選手が、結果を出せばいい」と淡々と言った。「気負い過ぎず、ベストのパフォーマンスを出すことが一番。背負いすぎるのは良くない」。若くして海外の地で鍛錬を積む男だからこそ、結果が全ての中で生きるからこその世界観だった。【栗田尚樹】