【シドニー23日=岡崎悠利】サッカー日本代表は24日、W杯カタール大会アジア最終予選でオーストラリアと対戦する。勝てば7大会連続のW杯出場が決定する運命の1戦。ケガで1、2月は不在だった頼れる大黒柱DF吉田麻也主将(33=サンプドリア)が戻ってきた。苦難も経験したチームの先頭に立つ森保ジャパンの象徴的存在。日本サッカー界を担う代表の主将として、W杯出場という重大使命をここでクリアする。

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森保ジャパンを引っ張ってきた吉田が、満を持してオーストラリア戦に向かう。前回の活動は負傷で不参加。チームは連勝でバトンをつないだ。最年少MF久保に言わせれば「外国人助っ人のよう」。そんな33歳がランニングの先頭にいるだけで、チームには安心感が生まれる。「僅差の試合になると想像している。引き分けでもOKという気持ちで臨まないこと」。短い言葉に力がこもる。

「日本代表というのはすばらしい場所」。1回の不参加でも、仲間の試合を見守りながら強く思った。国際Aマッチ113試合出場の主将ですら、ポジション争いへの危機感を今でも抱く。「前回招集されなかった分も貢献したい」。無失点なら負けない。セットプレーでのゴールにも期待がかかる。

苦しい道のりになった。ホームの初戦でオマーンに敗れ、猛批判を浴びた。10月にはサウジアラビアにも敗戦。森保監督の進退問題も噴出した。「精神的にしんどくしてしまった。ただ、自分たちでまいた種」。試合後の相手サポーターの差別的行為に、感情をあらわにしてスタンド近くまで詰め寄った。

日本代表の結果がサッカー人気に直結する。「その責任がプレッシャーでもあり、自分を突き動かしているのもある。苦しくもあり、感謝している」。日本サッカーを前進させることが使命だと心に刻み、逆境に向き合ってきた。

26年W杯からは出場チーム数が32から48へ拡大し、アジア枠も4・5から8・5へ増える。生きるか死ぬかのしびれる最終予選は、きっと最後になる。サウジアラビアに負けた直後「まだ終わっていない」とかすれた声を絞り出したところから、5連勝で王手をかけた。「苦しかった予選を成長して乗り越えてきた。ただ、なにもつかんでいない」。W杯切符をかけた戦いを、ここで終わらせる。【岡崎悠利】

◆日本のW杯出場決定条件 勝ち点18でB組2位の日本は同15の3位オーストラリアとの直接対決に勝つと、同組2位以内が確定して7大会連続のW杯出場が決まる。引き分けると3差のまま29日の最終戦を迎え、日本はホームでベトナムに引き分け以上で突破決定となる。負けると一転して苦しい状況に追い込まれ、勝ち点18で並んだオーストラリアとの得失点差で3位に転落する。

◆最終予選の前回オーストラリア戦VTR(21年10月12日、埼玉スタジアム) 日本は1勝2敗の窮地に追い込まれた状態で、前半8分に先発に抜てきされたMF田中が先制。後半25分にフルスティッチにFKを決められ追いつかれたが、後半40分にMF浅野のシュートがオウンゴールを呼び込み、2-1で競り勝った。陣形を4-2-3-1から4-3-3に変更して勝ち点3を得た森保ジャパンが、崖っぷちで踏みとどまった形となった。