<国際親善試合・キリン杯:日本4-0ベルギー>◇5月31日◇国立

 サムライFWが本番の先発に名乗り!

 日本代表FW岡崎慎司(23=清水)が、キリン杯ベルギー戦で2戦連続ゴールを決め、W杯アジア最終予選ウズベキスタン戦(6日、タシケント)での先発出場に大きく前進した。後半15分、MF大久保の右クロスに頭から飛び込み、泥くさく決めた。今年に入ってから国際Aマッチ7試合で6得点と決定力の高さは抜きんでている。日本代表は5月27日チリ戦に続く4-0大勝で、世界最速での予選突破のかかる6日に弾みをつけた。

 サムライは、どんな時も命をかけて敵に立ち向かう。後半15分、右サイドに流れたFW大久保が低くて速いクロスを送る。ニアへ走った岡崎は、相手DFともつれ合いながら倒れ込み、頭から突っ込んだ。ボールがゴールに吸い込まれたのを見届けると、夜空へ、歓喜の雄たけびを上げた。

 岡崎

 FWは点を取ってこそ、居場所がある。飛び込めて良かった。ああいうボールはね。全然、怖くないんですよ。いいボールだったので、思い切り飛び込んだ。

 岡崎、そして、岡田ジャパンの狙い通りのプレーだった。5月27日チリ戦は相手にサイドを崩され、クロスで攻められ再三ピンチを招いた。試合後に岡田監督は「右からのアーリークロスはぱくりたい」と発言。対ウズベキスタンもイメージして、その後の合宿でクロスの練習を繰り返していた。この時も次々とゴールネットを揺らしていたのが、「サムライFW」といわれる岡崎だった。

 岡崎

 クロスに対し、どんどん裏に抜け出し、シュートを狙うというのは、ずっと心掛けていた。

 「不動の1トップ」だった玉田はチリ戦で右足首痛を再発させ、この日は欠場。もう1人のレギュラーFW田中達は、体調不良で招集されなかった。その穴を十分に埋める活躍だ。しかも、ニアに飛び込みゴールを決める特長は岡田監督が最も好むプレースタイルでもある。キリン杯で2戦連発の3ゴール。今年に入ってからAマッチ7戦で6得点。しかも、先発すれば5戦6発とずばぬけた決定力を発揮している。

 負傷者が続出の岡田ジャパンの中で、特にけがに強い男だ。高校3年の選手権には右足中足骨を疲労骨折したまま臨み、初戦の星稜戦で途中出場してゴールを決めたこともある。高校時代には背中に「ダイビングヘッド」という文字を入れた練習着を着て、クロスに対し体ごと飛び込み続けていた。この日も大柄なベルギー選手に右足を踏まれ、大事を取って交代したが、試合後は「全然、大丈夫」とアイシングもせずにケロリ。大型DFが多いウズベキスタンにも十分に通用することも証明した。

 ウズベキスタン戦の先発出場に大きく前進。次は「本番」でも決めて、日本の勝利=W杯切符に貢献する決意だ。「大切な試合でしっかり決めないと、FWは何を言われるか分からないから。ウズベキスタン戦で先発で出てゴールを決めてこそ、みんなに認められると思う」。サムライFWの泥くさいシュートが、日本を南アフリカへ近づけていく。【奈島宏樹】