<U-17W杯:日本1-0ジャマイカ>◇1次リーグB組◇18日(日本時間19日)◇メキシコ・モンテレイ

 U-17W杯メキシコ大会に出場している日本が、1次リーグ初戦でジャマイカを撃破した。東日本大震災で被災したJFAアカデミー福島のFW松本昌也(16)が後半16分、値千金の決勝ゴールを決めて勝利に導いた。吉武博文監督(50)が「決勝進出」を目標に掲げるチームが、攻守にまとまり、好スタートを切った。

 松本が遠きメキシコの地から、被災地に勝利を届けた。交代出場してわずか5分後の後半16分だった。右サイドから攻撃参加したDF室屋のパスを受けると、冷静に左足でゴール右に流し込んだ。両手を広げ、雄たけびを上げながらベンチへ走り、控え選手の輪に歓喜のジャンプ。「この舞台でゴールできたことはすごくうれしい」と振り返った。

 感謝の気持ちを込めたゴールだった。JFAアカデミー福島の選手たちは被災翌日の3月12日から、1泊2日でいわき市内の避難所で生活した。支給された食料は1日おにぎり1個だった。だが、避難所にいたおばあさんや、子どもを持つ母親たちから「成長盛りなんだから食べなさい」と、おにぎりを分けてもらった。松本は2日の壮行会で「今でも避難所で生活を送っている方々が多くいます。メンバーに選ばれたのは多くの人たちに支えられたおかげ。お世話になった方に喜んでいただけるよう、全力でプレーしたい」と決意表明していた。

 小2で1986回のリフティングをこなすなど、技術は高い。フェイントやドリブルなど課題を与えると、復習と予習はかかさなかったという。小学生時代のコーチで中津市サッカー協会の城戸崎事務局次長は「普段、電話をかけてこない子が、出発前に成田空港から『頑張ってきます』と連絡があった。相当、気持ちがこもっていた」と話した。被災者の思いも背負った松本が、「日本の元気」を世界にアピールした。