<U-17W杯:日本2-3ブラジル>◇準々決勝◇3日(日本時間4日)◇メキシコ・ケレタロ

 日本の若きサムライブルーは、3度の優勝を誇るブラジル相手に惜敗し、初の4強進出を逃した。0-3のビハインドから、後半32分にFW中島翔哉(16=東京Vユース)、同43分にはDF早川史哉(17=新潟ユース)のゴールで1点差に迫る粘りを見せた。中田英寿氏らを擁した93年大会以来の8強入りを果たし、16年リオデジャネイロ五輪や、18年W杯ロシア大会では主力として期待される世代。王国と互角に渡り合ったパスサッカーが日本の未来に明るい光を照らした。

 快進撃を続けてきた日本のパスサッカーが、優勝候補ブラジルを最後まで追い詰め、世界に通用することを示した。重くデコボコな足場の悪いピッチの影響もありパスやトラップミスも多く、3点のリードを許したが、残り15分を切ったところから日本の怒とうの反撃が始まった。

 後半途中から出場した中島やDF高木が、最大の長所であるパスの連動を活性化させた。同32分、中島のパスに抜け出した高木が右からグラウンダーのクロス。約30メートルの距離を走り込んだ中島がゴール前中央で右足で流し込み1点目。同43分にはMF石毛の右CKをDF岩波が折り返すと、クロスバーのはね返りに早川が機敏な反応を見せ、頭で押し込み1点差に迫った。

 3万人を超える大観衆も「ハポン(日本)」コールで番狂わせを期待するほど、パスがつながる魅力的なサッカーを演出した。終了間際にも、クロスに高木が体を投げ出して足を伸ばしたものの、わずかに届かず力尽きた。しかし今大会3得点を挙げたMF石毛は「組織では勝っていたと思う。日本にこの気持ちを持って帰り、毎日を大事に過ごしたい」と自信を深めていた。

 だがブラジルはイングランドの名門チェルシーに入団が内定しているFWルーカス・ピアソンと、攻撃の中核MFナタンを出場停止で欠いていた。日本はボール支配率で51対49とわずかながら上回ったが、1対1の強さなどすべてにおいて相手が一枚上。吉武監督も「後半はすごく頑張ったけれど、ブラジルは個人の力が本当に強かった」と差も認めた。

 1次リーグではアルゼンチンを3-1で破り決勝トーナメント進出。決勝T1回戦ではニュージーランドに6-0で圧勝した。その一方でメンバー21人全員を起用し、全体のレベルアップをはかった。指揮官は試合後「16年のリオデジャネイロ五輪で、もう1度ブラジルと対戦し、もっと良いサッカーをしてくれると信じている」。強豪国と戦い抜いた全5戦の経験を土台に、さらなる成長を期待した。