【ソウル18日】“格安”から成り上がる!

 20日開幕の東アジア杯に出場する日本代表が、東西に分かれて開催地韓国に入った。新星として期待されるC大阪FW柿谷曜一朗(23)と鳥栖FW豊田陽平(28)らは関西空港から出発。通常、代表はビジネスクラスを利用するが、移動はなんと往復9800円(燃料費など除く)の格安航空会社(LCC)。ハングリー精神を養い、14年W杯メンバー入りを狙う。

 胸を躍らせて空港に到着すると、あれれ…。手渡されたのは、なんと格安航空券だった。関西空港から出発したのは柿谷、山口、扇原のC大阪勢と、エース候補として期待される豊田。ちまたで話題のLCCでの移動とはいえ、チェックイン時から、夏休みで海外旅行に出かける女子大生らの行列に並ぶハメに。実は空港へ向かう車中で、C大阪トリオはこんなやりとりをしていたのだという。

 「代表の移動って、ファーストクラスやんな~。めっちゃ楽しみやな~」

 「そら、もちろんファーストやろ。椅子も広いんやろ~な~。楽ちんやな~」

 そんな妄想は、一瞬で消えた。日本代表はW杯米国大会予選を戦った93年頃から、移動はビジネスクラス。狭い機内では体に負担がかかることもあり、腰や膝に故障を抱える選手についてはファーストクラスに座ることも例外ではなかった。今回も東京から出発した選手は、通例通りビジネス。一方、関西からの移動組はなぜか前例のない格安航空券。しかも往復9800円で、燃料費などを含んでも約2万円の超破格のお値段だった。

 これもハングリー精神を狙った“ザック采配”か。山口は「(席は)広い方が良かった」と残念そうだが、柿谷は「普通のエコノミーくらいでした。機内では寝ていたから、そんなに狭く感じなかった。(C大阪勢の)3人とも、いびきをかいて寝てました」とさらり。ここで結果を残して代表に生き残れば、10月の欧州遠征ではビジネスにランクアップするのは確実だ。

 “格安”からはい上がるしかない。柿谷は「日本はコンフェデ杯で1勝もできなかった。僕らが強くする」。山口も「優勝しか考えていない」と言い、扇原は「責任感は高まっている」と闘志満々だ。滑り込みでの14年W杯メンバー入りへ。ここから成り上がる!【益子浩一】

 ◆ソウルへの航空券

 関西空港からの出発でJALのビジネスクラスを利用すると、通常料金12万5000円(燃料費など含む総額は約13万5000円)。ANAも同等金額になる。格安航空会社(LCC)とは10万円以上の差額がある。

 ◆東アジア杯

 東アジア連盟主催の地域大会で、90年にスタートしたダイナスティ杯が前身。男子は03年に第1回大会が行われ、今年が5回目。女子は05年に第1回大会が行われ、今年が4回目。日本は男女ともシード国で決勝ラウンドからの登場。女子はなでしこジャパン史上初のタイトル獲得となった第2回(08年)、そして第3回(10年)と連覇しており、今大会で3連覇を目指す。男子は4大会とも優勝を逃しており、初優勝を狙う。