<アジア杯:日本1(4PK5)1UAE>◇準々決勝◇23日◇シドニー

 120分間、DF長友佑都(28=インテルミラノ)は走り抜くことができなかった。異変が起こったのは延長前半4分。長谷部のパスに反応し、左サイドを駆け上がったが届かない。直後に右脚をかばいながら、ピッチに倒れた。森重がベンチへサインを出したが、既に3人の交代枠は使い切っていた。延長のハーフタイムには、アギーレ監督から激しく指示を受け、ピッチへ。長友が向かったポジションは定位置ではなく、中盤だった。

 既に走れなくなった手負いの状態。負担を減らすためにインサイドハーフに入ったが、当然ボールに絡むことはほぼない。事実上、日本は10人での戦いを強いられ、勝ち越し点を奪うことはできなかった。

 長友

 悔しいです。僕が足を痛めてしまって(チームの)足を引っ張ってしまいました。申し訳ありません。W杯で負けてアジア杯でも敗退して…。これが僕らの今の実力だと受け止めて、これからやっていくしかない。

 前日の会見では、ブラジルW杯、そして18年ロシアW杯についての質問に答えられなかった。「その(話すことに)エネルギーを使うなら、明日の試合でダッシュ1本に使いたい」。その言葉通り、左サイドから何度もUAE守備陣を切り裂いた。切れ込んでミドルシュートも狙ったが、最後は体が悲鳴を上げた。

 「あれだけチャンスをつくって1点しか取れなかったことが問題です。1人1人の精度、レベルを上げていく、その部分しかないと思います」。想像していなかった結末を、受け入れるしかなかった。【栗田成芳】