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金の卵たち

【第4回】落選北京「我慢の」10年・・・「悔しさの」集大成

09年 ジャパンオープンで優勝した酒井(右)と2位の寺川
09年 ジャパンオープンで優勝した酒井(右)と2位の寺川
【女子背泳ぎ:酒井志穂】

 女子背泳ぎの100メートルと200メートルで短水路(25メートルプール)の世界記録を持つ酒井志穂(19=ブリヂストン)は、アジア大会を「悔しさの集大成」と位置付けている。金メダルが期待されているが、「結果を気にしすぎて、自分にプレッシャーをかけたくない。結果より納得できる泳ぎ」と自分に言い聞かせている。

 昨年11月のW杯ベルリン大会で、短水路世界新を2つ樹立した。ところが飛躍が期待された19歳は今年、25の寺川の後塵(こうじん)を拝してきた。寺川が3冠を達成した4月の日本選手権は200メートルの2位が最高。6月のジャパンオープンでも200メートルで優勝したものの、10月のW杯東京大会では再び寺川に3冠を奪われた。「W杯も直前の昆明合宿で腰を痛めて泳ぎ込めなかった。我慢の年でした」。

 159センチと小柄ながら、柔らかい足首を生かしたバサロキックを武器に、背泳ぎ一本に絞った九産大付高1年から高校新を連発した。だが、08年4月の北京五輪代表の選考レースを兼ねた日本選手権で、100メートルで派遣標準記録を切りながら、伊藤華英、中村礼子に次ぐ3位で出場権を逃した。「悔しい思いをした。だからロンドン五輪こそ絶対に行ってやろうと思った」(酒井)。

 その後は北京五輪100メートル決勝の映像を見て研究を積み、上半身の強化に努めた。上半身を強化することでターン後の浮き上がりを押さえ、得意のバサロキックにさらに磨きをかけた。昨年7月には世界選手権(ローマ)に出場。100メートルで4位に終わったものの、中村の記録を更新する59秒14の日本記録を樹立した。

 大きな節目でプレッシャーにつぶされてきた。その反省を生かしてアジア大会はあえて大きな目標を口にせず、北京五輪と今年の悔しさだけをぶつける。「アジア大会では最低限の目標をクリアしたい。100メートルで、今年は1回も切れていない1分を切ること。それがロンドンへつながる」。広州でロンドンへのスタートを切る。【小谷野俊哉】

 ◆日程 470級女子は14日からスタート予定。メダルレースは20、21日予定。

酒井志穂(さかい・しほ)
 1990年(平2)12月1日、福岡県古賀市生まれ。3歳から水泳を始め、小3から本格的に競泳をスタート。九産大付高から九産大に進学し現在2年。ブリヂストン所属。現在、09年11月のW杯ベルリン大会で出した女子背泳ぎ100メートルの55秒23、同200メートルの2分0秒14の2つの世界記録(短水路)を保持する。159センチ、53キロ。


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