<ラグビー:第48回日本選手権>◇決勝◇27日◇東京・秩父宮ラグビー場

 サントリーが三洋電機を37-20で破り、9年ぶり4度目の優勝を飾った。トップリーグ(TL)プレーオフ決勝のリベンジを狙ったサントリーは、9点差に詰め寄られた後半25分にWTB長友泰憲(25)が、右隅にトライを決めて勝負を決定づけた。初優勝のTLに次ぐ2冠を逃した三洋電機は、7連覇の新日鉄釜石(現釜石シーウェイブス)と神戸製鋼に次ぐ史上3チーム目の4連覇を逃した。

 前半に24-6とリードしたサントリー。反撃され29-20と迫られた後半25分。敵陣ラックからSHグレーガンの素早いボールさばきで右へ展開。最後は長友が右隅へ飛び込んだ。「みんながつないでくれたパスを、フリーでもらえた」と長友。

 長友にとって起伏の激しいシーズンだった。昨年4月に日本代表初招集、今年9月開幕のW杯(ニュージーランド)出場を決めたアジア5カ国対抗で活躍。だが、秋は招集されず、7人制代表で11月のアジア大会金メダルを獲得した。「7人制出場は難しかった。その後はモチベーションが下がった」。TLでもリザーブに回り、思い悩んだ。

 その間、三洋のWTB山田がTLプレーオフMVPの活躍。日本代表入りを大きくアピール。「意識したけど、ラグビーは1人じゃ勝てない。チームの勝利だけを考えた」。この日は2トライだけでなく、防御でも見せた。後半8分に対面の山田をハードタックルで浮き上がらせた。「攻撃だけじゃなく、防御もミスなくできた。悩んだおかげで、大人になれた」と振り返った。口蹄(こうてい)疫や火山被害で苦しむ故郷・宮崎を元気づけるプレーを見せた。

 今季就任したジョーンズ監督(51)は、蹴らずにボールをつなぐアタッキングラグビーで勝利。開幕3試合で2敗と苦しいスタートだったが理想を貫いた。同監督は「この勝利で、サントリーが日本で一番いいチームの証明ができた」と笑顔だった。【小谷野俊哉】