陸上男子20キロ競歩の世界記録保持者で、世界選手権の金メダルが期待される鈴木雄介(27=富士通)が18日、恥骨を痛めていることを明かした。北京に向けて出発する羽田空港で「恥骨を故障している」と不安を口にした。違和感は5月からあり、痛みがあるまま練習を続けていた。「ただ歩いたり寝ている分には痛くないけど、練習中はずっと痛い」と症状を説明した。

 7月に行われたホクレン中長距離チャレンジ(北海道)では、痛みを抱えながら5000メートル、1万メートルでそれぞれ日本記録を更新した。だが今大会は距離が20キロに延びる。それだけに「1万メートル(10キロ)までは歩き切れたけど20キロは最後どうなるか。すごく痛くなる可能性もある」。大会後は炎症が抜けるまで休む考えで、長くなれば3~4カ月かかる見通しだという。

 そんな状況でも覚悟はできている。痛みからフォームに左右のずれも出るというが「審判にどう映るか不安はあるけど、これで失格になったらそれは受け入れる」。計画していたスピード練習は不足したが「どう影響するかは考えるけど、何回かやった練習は確実にできた。体の調子自体は順調」と悲観する様子はない。

 手負いの男はリオ切符をかけ、23日のレースで大勝負に打って出る。「目標は金メダルから変えない。(今の状況でも)手の届くところにある」と自信をのぞかせた。【岡崎悠利】