東京国際大が創部5年目にして、初の出場権を勝ち取った。10時間11分41秒で9位に入り、上位10校が進む本戦出場を決めた。

 涙が止まらない。順位発表で朗報を耳にすると、関竜太主将(4年)は泣きながら、だれかれ構わず抱き合った。1年時は13番目の選手で12人の代表から漏れた。昨年はラスト5キロで失速し、チームも予選落ち。悔しさの分だけ「夢を見てるみたい。本当にうれしい」と感情を込めた。

 昨年は本戦初出場を決めた10位創価大に4分21秒差の13位。予選会初出場となった12年からのライバル校に、先を越されたショックは大きい。寮には創価大が初出場を決めたときの新聞を張り出して、毎日悔しさをかみしめた。前夜のミーティングでは、予選落ちの場面から奮闘したこの1年を振り返った映像を見た。選手たちは涙を流しながら闘志を高めた。箱根への覚悟を固めた12人は、安定した走りで悲願を成就させた。

 11年2月に陸上部ではなく駅伝部として創部。創立50周年の今年の本戦出場権獲得を目指した。64年東京五輪代表で、中大6連覇メンバーの横溝三郎氏(76)を総監督、96年に中大を32年ぶりの総合優勝に導いた大志田秀次氏(53)を監督に招いた。埼玉・坂戸市にある東京ドーム4個分のキャンパスには陸上競技場を設置。創部1年後には栄養士付きの寮も完成した。

 環境は整ったが、無名校のため選手スカウトには苦戦した。現3、4年生は高校時代は補欠で活躍した選手は1人もいない。当初は伝統校のユニホームを見て固まることもあったが「歴史の1ページを飾る」と前を見てきた。今年は月ごとに先月の反省と今月の目標を定めた。食事量、睡眠時間まで話し合いながら各自がタイムを伸ばしてきた。

 大学創立50周年で本戦出場権の目標を達成。大志田監督は「走ることが好きな選手がコツコツとやってきた。まずはシード権(総合10位以内)を確保したい」。新たな歴史を切り開くべく、次なるターゲットを見据えた。【田口潤】

 ◆東京国際大 1965年(昭40)、国際商科大学として金子泰蔵氏が創設。86年に東京国際大学に校名変更。現在は商学部、経済学部、言語コミュニケーション学部、国際関係学部、人間社会学部の5学部10学科4研究科を有する私立大。約6200人が学ぶ。スポーツ強化に力を入れており、野球部は元広島監督の古葉竹識監督、サッカー部は元日本代表の前田秀樹監督、ソフトボール部はアテネ五輪代表監督の宇津木妙子総監督が指揮を執っている。

 ◆予選会 各校14人までのエントリー選手のうち、10~12人が出場する。全員が20キロを走り、チーム上位10人の所要合計タイムの少ない上位10校が本戦出場権を獲得。本戦には前回優勝の青学大などシード10校、予選会を突破した10校、予選会の記録上位者を中心に編成する関東学生連合(オープン参加)の21チームが出場する。