箱根駅伝を知る「ツウ」たちが、来年1月2、3日の第92回大会を前に独自の視点で語る連載「箱根のミカタ」の第5回は、本紙記者の鎌田良美(29)が担当します。陸上ファンの視点から、箱根駅伝をより楽しむための観戦術を現地観戦編、テレビ観戦編の2回に分けてお伝えします。まずはランナーの熱気が直に感じられる、現地観戦編です。

 必需品は携帯ラジオ。ですが、ストップウオッチも持って行っちゃいましょう。トップの大学から何秒差。自分で測ると、監督やコーチになったような臨場感でレースに“参加”できます。

 さあ当日。早朝から場所取りをして、人気ポイントでじっくり見るのもいいですね。オススメは「選手と一緒に移動型」。2区横浜駅と5区宮ノ下、復路小田原中継所とゴール日本橋付近あたりはハシゴできます。通過予定時刻を参考に。

 「花の2区」を観戦し、いざ山へ。箱根湯本駅、長蛇の列です。ディズニーランドのアトラクションだと思って並びます。待っただけ、楽しいことが…。

 「1位の○○大学・○○選手。現在ここから○キロ後方を走っています!」

 箱根登山鉄道は、車内アナウンスが実況なのです。

 2区から向かうと、山の中腹で「大学生VS電車」が結構なデッドヒートになります。うわあ勝ちたい(?)先に着きたい。ハラハラ感で乗客に一体感が生まれます。家族連れもカップルもおひとりさまも皆仲間。12年に東洋大の柏原竜二選手が5区を走った時は、宮ノ下駅に着いた数分後に、柏原選手が急勾配を駆け抜けていきました。

 いよいよ復路です。6区から7区、迫力の山下りを見届け、ゴール大手町に移動。200キロを1本のたすきでつないだ選手たちに拍手ですね。

 周りを見渡すと、そこはオールスター感謝祭。各大学のOB、過去の名ランナーが大勢母校の応援に来ています。元日のニューイヤー駅伝を走ったばかりの、現役実業団選手もちらほら。豪華な顔ぶれに、箱根駅伝の歴史が感じられます。

 お疲れさまでした。帰ったらぜひ、録画中継を見てみてください。沿道で声援を送る自分の姿は、いい記念になるはず。正月の箱根路の澄んだ空気を、1度味わってみてはいかがでしょうか。【構成=鎌田良美】

 ◆鎌田良美(かまた・よしみ)09年入社、福島・浪江町出身。小5で同郷の駒大・藤田敦史を応援し、中1の時に法大・徳本一善の1区区間賞を見て箱根駅伝にはまる。東海大・中井祥太の山登りが忘れられない。津田塾大では陸上部マネジャー。当時18歳の最強市民ランナー、川内優輝に握手を求めたのは良い思い出です。三が日はニューイヤー駅伝と箱根を現地応援派。特技はストップウオッチ7個同時計測。現在、野球部所属。