箱根駅伝(来年1月2、3日)を知る「ツウ」たちが、独自の視点で箱根を語る連載の第6回は「箱根女子の観戦術」テレビ観戦編です。現地に行かずとも、自宅で十分に楽しめるレースの「ミカタ」を、大学時代は陸上部マネジャーだった本紙記者の鎌田良美(29)が紹介します。

 突然ですが、箱根路を駆ける選手と100メートル走をします。勝てるでしょうか? 

 テレビ観戦はこんな架空の勝負が挑めます。スタートからの、時間と距離表示に着目。スピードが算出できます。例えば今年の第91回大会。平地最長の2区で、区間賞の東洋大・服部勇馬選手の記録は1時間7分32秒でした。1キロ3分を切るペース。平均100メートルを18秒かからずに23キロ走ったことになりますね。

 自分のレベルに落とし込んで想像すると、ランナーのすごさが分かって楽しくなってきませんか?

 盛り上がる鉄板は母校の応援だ。出ない場合は推しメンを探しましょう。箱根を関東大会と思うなかれ。全国の選手が集います。出身校は要チェック。甲子園に出た県代表球児のように、親近感の湧く選手が見つかるはずです。

 「人」にフォーカスした瞬間、レースはドラマに変わります。09年、準優勝した早大のアンカーは福島・磐城高の同級生でした。両手を合わせ、謝りながらゴールする姿が大きく報じられました。なぜそんなポーズになったのか。彼と、彼につないだ9区走者は一般入試のたたき上げ。4年生でつかんだ最初で最後の箱根でした。背景を知ると、ただ「2位で悔しかったんだな」よりも多くを感じられます。

 当日朝は、区間エントリー変更にも注目です。エース級を何区に投入するかなど、各監督の戦略や思惑が垣間見られます。3日はスタート前に、朝刊の往路全選手記録表を眺めるのがオススメ。テレビに映らなかったシーンまで脳内再生で復習しておくと万全です。

 のべ210人がたすきをつなぐ青春の200キロ。胸を打つシーンが必ずあります。何となく、箱根中継をつけっぱなし…はもったいない! みかん片手に、こたつに入ったままでOKです。画面を越えて伝わる人間ドラマに、どうぞ手に汗握ってください。【鎌田良美】(おわり)