陸上男子走り高跳びで日本記録を更新した戸辺直人(26=つくばツインピークス)が27日、今秋の世界選手権(ドーハ)の金メダルに照準を定めた。

27日、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで練習を公開。同種目において日本勢は五輪と世界選手権においてメダル獲得の実績はないが、目標を高く設定した。また、国際陸連は世界ランキング制度の導入を発表し、戸辺は7位だった。

報道陣約40人の前でジャンプを披露した戸辺は、初々しく笑った。欧州遠征への出発時は誰も報道陣がいなかった。「こうして取材にしていただける。帰国をして実感が湧いてきた」。あらためて25日前に日本記録を2センチ塗り替えた心境を述べた。「跳んでいたら楽しくなってきた。いい緊張感を持って、練習できた」と大きく変わった環境をかみしめた。

まだ春とはいえ、2メートル35は今季世界最高記録だ。日本人選手で初めて、世界室内ツアーも優勝。「かなり具体的に世界のトップが見えてきた。この勢いのまま突っ走っていきたい」。今後、記録は2メートル40を目指すとし「世界選手権では金メダルを取れるように頑張りたい」。まだ日本勢が五輪、世界選手権でメダルさえ獲得していない種目で、世界一に目標を設定した。その上で20年東京五輪は「他のどの場所のオリンピックより特別な大会になる。競技者としての1つの集大成として迎えられるように準備したい」と話した。

国際陸連が26日(日本時間27日)に世界ランキング(19日付)の導入を発表し、7位となった。3月の国際陸連の理事会次第だが、初の試みとなるこのランキングが東京五輪では出場資格の獲得に適用される見込み。大会の格によって得られるポイントが異なり、ランキングを上げるには海外レースで結果を出すことが近道だ。「これまでも積極的に海外にいってきた。スタンスは変えずにいける」。周囲の注目は高まったが、やることは変わらない。【上田悠太】

◆戸辺直人(とべ・なおと)1992年(平4)3月31日、千葉・野田市生まれ。野田二中で全国中学大会、専大松戸高で高校総体を制覇。日本選手権は11年、15年の2度優勝。15年世界選手権は2メートル26で予選落ち。16年リオ五輪、17年世界選手権は出場ならず。今春に筑波大大学院を卒業し、4月からJAL所属。194センチ、72キロ。