前田選手は強かった。ダークホース的な存在かと思っていたが、素晴らしいレースをした。早い段階で積極的に飛び出し、その後ペースも落ちなかった。独走で長い距離を走るのは精神的にも負担があるが、マイペースで押し切った。世界と戦える強さを感じた。

広島・比婆での天満屋のトレーニングは、2キロと3キロのクロカンコースを計50キロ走る。脚力はもちろんだが、鍛えられるのはメンタル。自分のペースで距離をこなすことで、精神面が強くなる。長い手足を生かしたストライド走法。静かに押していくタイプで、1歩1歩に推進力がある。

MGCはゴールではなくオリンピック(五輪)へのスタート。前田選手の走りを見ていると、その思いの強さが伝わってきた。最近は消極的なレースが目立っていただけに、前田選手や一山選手らの積極性は女子マラソンの明るい未来を感じさせた。MGCで、確かに選手は強くなっている。(04年アテネ五輪金メダリスト)