6センチの差で涙をのんだ。64メートル36の日本記録を持つ北口榛花(21=日大)は上位12人による決勝進出はならなかった。60メートル84で予選A組7位。そのあと行われた予選B組も含めた順位は13位だった。12位選手の記録は60メートル90だった。わずかな差で、予選で散ることになった。

北口は取材エリアに姿を見せたのは、B組の投てきが始まる前だった。「コーチにも自分の中でも、あと1メートルぐらい欲しいという気持ちがあった。今が一番、気持ち悪いです。次の組の結果を見たくないです」と複雑な表情。そう話して、1時間後に出た結果は無情だった。同種目では11年大邱大会の海老原有希以来、8年ぶりの決勝進出はならなかった。

それでも3投中2度、60メートルを超えたのはさすがであり、成長だった。1投目は57メートル34と不発も、2投目には60メートル84をマーク。3投目は記録こそ伸ばせなかったが、60メートル54を残した。「海外を転戦をした中でも3本以内に(60メートルを)投げられたことがなくて、勝負がかかった6本目とかでは越えられたけど、3本以内はなかった。そういうのがよかった」。悔しさと手応えがあった初の世界選手権となった。

7月のユニバーシアード後、今オフに飛躍の契機をつかんだチェコなど欧州で調整を積み、そのままドーハに入るという思い切ったプランで挑んでいた。「途中でちょっと日本人が恋しくなったりしたのですけど、コーチが側にいて、チームメートも一緒で、いろんな記録を目指し頑張っている人たちがいる中で、練習できた。『私も頑張らなきゃ』という気持ちになった。何よりコーチのメニューもしっかりこなして、しっかり調子を上げてこられた」。その愛くるしい笑顔は、世界選手権の大舞台でも変わらなかった。