女子で今季1500メートルと3000メートルの日本記録を樹立した田中希実(21=豊田自動織機TC)が、初の日本一に弾みをつけた。

ペースを管理しながら1500メートルで4分12秒81、約1時間後の3000メートルで8分56秒18を記録。短時間で2種目に出場しながら他を圧倒する走りを見せ、地元の高校生選手らの熱い視線を集めた。

次戦の日本選手権(10月1~3日、新潟・デンカビッグスワンスタジアム)は800メートル、1500メートルにエントリーしており「800メートルの権利も持つことができて、ミドルで2種目エントリーする。ミドルの中でもスタミナがないと、こなせない。日本選手権は優勝できたことがないので、優勝したい思いは強いです」と冷静な口調で力を込めた。

岐阜・御嶽山で合宿を行っていたが、2日前に兵庫へ戻り、再び16~21日は同地で強化に励む。合宿地は標高1800メートル程度あるといい、記録会への出場は、走りの現在地を確認する狙いがあった。父の健智コーチも「予定(の走り)以上です」と力走を評価した。

24日から同志社大の授業が始まるといい、田中は「オンラインと対面の併用で、週に2回ぐらいは学校に行かないといけないです」。地元の兵庫・小野市からキャンパスのある京都・京田辺市は距離があり、大学へ通う際には兵庫・尼崎市を拠点としてきた。

「(練習は)尼崎と小野で、週に半々ぐらいになりそうです」

陸上で結果を出し、学業も手を抜かない大学3年生。さらに慌ただしくなる秋も目標に向かい、全力で駆け抜ける。【松本航】