全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)は来月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。5連覇を狙う旭化成、マラソン東京五輪代表の中村匠吾(28)を擁する富士通、同じく東京五輪代表の服部勇馬(27)がエースのトヨタ自動車が3強と言われている。旭化成は箱根駅伝2区区間記録を樹立した相沢晃(23)が加入し、トップ選手がずらりと並ぶ超豪華メンバーになった。

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相沢の1万メートル日本記録に長距離界が震撼(しんかん)した。例年と異なる12月開催となった日本選手権でのこと。27分18秒75の優勝タイムは、村山紘太(27=旭化成)が15年に出した27分29秒69の日本記録を10秒以上更新していた。東京五輪参加標準記録も破り、男子トラック種目では代表第1号に内定した。

箱根駅伝2区の区間記録を破った相沢だが、東洋大時代の1万メートル自己記録は28分17秒81。日本代表争いに加わるレベルではなかった。実業団初レースとなった10月の記録会で27分55秒76を出してはいたが、さらに40秒近くタイムを短縮したことに誰もが驚いた。

新記録の要因を相沢は「大学時代と違って、練習をトラックレース本番に近いペースで中心にやってきました。それも大学時代からの積み重ねがあって、この結果になったのだと思います」と説明する。

相沢が加入したことで、駅伝の旭化成も驚愕(きょうがく)の戦力になった。日本選手権では鎧坂哲哉(30)が27分36秒29で5位、村山謙太(27)が27分50秒09で9位と3人が10位以内に入った。市田孝(28)と茂木圭次郎(25)も27分50秒台の自己新で、5人が28分を切った。前日本記録保持者となったが、村山紘も復調の兆しを見せた。

4連勝のうち、最長区間の4区(22.4キロ)は市田が3回走り、区間賞も一度取ったことがある。5区(15.8キロ)は4年連続で村山謙が走り区間賞を3回獲得。自身がトップに立つか、6区(12.1キロ)での逆転をお膳立てしてきた。市田と鎧坂は、スピード区間といわれる3区(13.6キロ)で区間賞を取っている。

相沢の日本一のスピードを生かすとすれば3区が最有力か。あるいはインターナショナル区間の2区で、アフリカ勢に勝負を挑む可能性もある。スタミナ面で問題なしとスタッフが判断すれば4区もあるだろう。

また今季は鎧坂の充実ぶりも顕著で、日本選手権前の練習では相沢よりも上だったという。20代前半は駅伝で日本人無敵を誇った選手。大迫傑(29=ナイキ)との合同練習などでトレーニングの幅を広げ、新たな強さを手に入れている。

区間の最終決定は30日だが、相沢、鎧坂、村山謙の3人が3~5区で全員区間賞を取る可能性もある。

学生時代の相沢は箱根駅伝では3年時の4区、4年時の2区と区間新記録の区間賞を続け、日本中を沸かせてきた。

「大学3年の全日本大学駅伝から区間賞を取り続けていますが、今回は区間賞だけでは満足できません。区間新を出します」

箱根のヒーローがニューイヤー駅伝でも区間新の快走を見せれば、旭化成がレース中盤で独走態勢に入るかもしれない。