男子・浜松商のエースが、全国の大舞台で快走を披露した。尾崎健斗(3年)が、各校の実力者が集う1区で29分2秒の区間2位で走り、好スタート。4年ぶり17度目出場の同校は、2時間5分33秒で総合20位に終わったが、1993年(平5)の第44回大会で記録した全国大会での同校史上最速記録(2時間6分37秒)を27年ぶりに更新した。女子は2年連続8度目の出場となる常葉大菊川が、1時間12分28秒の28位。目標だった同校史上最高順位(18位)を更新できなかった。【河合萌彦】

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浜松商の尾崎が、プラン通りのレース展開を見せた。序盤は、終盤のアップダウンを考慮し、余力を残すため後方に位置。1・5キロ付近で先頭集団に追いつくと、スローペースを嫌い、6キロ手前で「わざわざペースを落として付き合うことはないと思い、前に出ました」。最後の競り合いに敗れたが、首位と6秒差の2位に「練習でやるべきことをやってきたからこその結果」と胸を張った。

自身をよく知る“コーチ”の存在も大きかった。母紀子さんは、スズキ浜松AC(現スズキAC)などで活躍した元マラソンランナー。一昨年12月、全国高校駅伝を家族で観戦に訪れた際、マイペースな尾崎を刺激するため、1区のコースを試走させた。「その時は、本当に都大路で走るなんて想像もしなかった」と尾崎。この日のレース前にも、自身の欠点を知る母から「あごを引いて走り、腕が上がらないように意識しなさい」と指示されて実践。好結果につなげた。

区間賞を逃しても「この先も活躍する舞台があるので、悔しさはない」ときっぱり。来春には、箱根駅伝の常連校・明大に進学予定。「ケガをせず、練習を継続して上を目指したい」。レースと同様に自身のペースで努力を重ね、スピードを磨いていくつもりだ。