男子3000メートル障害で日本記録保持者で昨夏の東京五輪7位入賞の三浦龍司(20=順大)が、“別格”の強さで圧勝した。

スタートから集団の中で走っていたが、残り1000メートルでギアを切り替えてトップに立つと、全身のバネを使った大きなストライドで一気に加速。追いすがるキプラガト(ケニア)を引き離して、最後は5秒近い大差をつけてゴールした。

プラン通りのレースだった。あえて終盤まで集団でレースを進め、最後の1000メートルでスパートして逃げ切った。

「国際大会ではゲームメークの力が必要になる。それを磨くため。それがうまく機能した」

世界での戦いを想定したレースを、海外勢が参戦する今大会で試し、手応えをつかんだ。自身の持つ日本記録8分9秒92には及ばないが、8分22秒25の優勝タイムも想定内だった。

今季は好調で、4月9日の選抜中・長距離大会(熊本)での1500メートルで、日本記録にあと1秒17に迫る3分36秒59の日本歴代2位の記録で優勝すると、同29日の織田記念(広島)では切れ味のあるラストスパートで5000メートルを制した。

今季初の3000メートル障害を控えた前日会見では「スピードと持久力は強化してきた。その成果を出せればいい」と話していた。

すでに世界選手権の参加標準記録も突破済み。表彰台への期待も高まるが、本人は今日のレースと同じように冷静そのもの。

「現実的に考えて、8分9秒(の日本記録)は簡単な記録ではない。期待に応えたいが、自分の実力と伸びしろを考えると非現実的」

今の自分の力量を冷静に俯瞰(ふかん)して見ることができる能力が、着実な成長の糧になっている。【首藤正徳】

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