出しゃばることはないが、引っ込み思案でもない。今季は国内男子下部となるAbemaTVツアーを主戦場とするプロ6年目の塩見好輝(27=国際スポーツ振興協会)が、大事なツアーで不思議な魅力を醸し出している。

 7月26、27日に埼玉・鳩山CCで開催されたISPSハンダ・マッチプレー選手権にホストプロとして出場。今季のレギュラーツアーは2戦目ながらも、1回戦で1学年下となる選手会長の石川遼を撃破し、2回戦では母校の東北福祉大の先輩、岩田寛に競り勝った。いきなり初戦で石川との対戦になっても「相手は遼で注目されるし、負けても勝ってもみてくれる人がいる。名前も覚えてもらえるし、プラスになった」と自然体そのもの。力まないスタイルが、マッチプレーに不可欠な運も引き寄せているようにみえた。

 15年から国際スポーツ振興協会(ISPS)に所属している。大学の先輩で同じ所属先の谷原秀人による推薦もあって契約を結ぶことができた。谷原と同様、大学の先輩で同じ所属の藤本が2回戦で敗れ、谷原は今大会不出場。9月5日から再開する3回戦以降では、ただ1人のホストプロになった。塩見は「2人(藤本、谷原)がいなかったら、ここでゴルフはできていないんですから。ずっと一緒に練習ラウンドもしてもらっているので。全部背負って頑張ります」。端正なマスクから、力強い頼もしさものぞかせた。

 名門の東北福祉大では主将を務めた塩見。1学年上の主将はツアー2勝の藤本佳則、そして1学年下の主将は米ツアーで活躍する松山英樹だった。塩見の持つ「出しゃばり過ぎず」「謙虚すぎず」のバランス良いスタンスが、実力十分の先輩、後輩に挟まれた学年を上手にまとめていたのではないかと想像してしまう。

 3回戦は昨年2位のH・W・リュー(韓国)と対戦する塩見は「この試合は大チャンスですよね」とひそかにテンションを上げた。猛暑が続く夏はレギュラーツアーに出場できないが、代わりに疲労蓄積は少なく、体力も温存できる。試合会場での入念な練習ラウンドも可能だ。優勝賞金5200万円。「ブレークできるかできないか」という絶好機に向け、塩見は輝く準備を進める。【藤中栄二】