2021年の国内女子ゴルフツアー初戦「ダイキン・オーキッド・レディース」は7日に小祝さくら(22=ニトリ)の劇的な逆転勝利で幕を閉じた。

優勝会見では普段通りのほんわかとした受け答えを連発して笑いも誘った。一方で初の賞金女王獲得への強い思い、そして精神面での成長もしっかりと語り、あらためて昨年までとは違う頼もしさを感じさせた。

気持ちを引き締めることになった一因には、昨年12月に出場した全米女子オープンでの経験が挙げられる。小祝にとっては初のメジャー大会出場で、結果は通算10オーバーでの予選落ち。大会後には「コースの難しさが全然違いました。上位選手はいいところにショットを落としていたと思いますが、私はグリーンから出た30メートルくらいのパットが残ったり。しっかり結果を残したかったけど、厳しかった」と、悔しそうに振り返っていた。

プロ転向後の18年から国内ツアーの連続出場を続けており、今後も主戦場には日本を考えている。しかし、全米や全英女子オープンなどメジャーへの出場意欲はある。むしろ、初めての全米での屈辱がその思いをより強くした。「リベンジしたいです。今回はダメな結果で終わってしまったけど、次こそはしっかり予選を通っていいプレーをしたい」。

宮崎合宿などを敢行したオフを経て、技術、精神面ともに強くなって帰ってきた。ダイキンの会場、琉球GCは北海道出身の小祝にはあまりなじみのない、主に暖地で採用される高麗芝コース。加えて強い風が特徴で、弾道の高い小祝には不利に働くとみられていた。過去2回の出場では18年に予選落ち、19年は通算4オーバーで17位と相性の悪さを露呈していた。今回も風に加えて最終ラウンドでは雨が降り、調子も「特にいいわけではない」。悪条件を並べればキリがないが、それでも勝った。今回の勝利には、一皮むけた成長が詰まっていた。

現在の女子人気を支える黄金世代の1人でもある。同世代の国内ツアーでの生涯獲得賞金は小祝がトップを走っており、唯一2億円を超える。幸先よく賞金を積み上げ、統合シーズンの20-21年の賞金ランキングでも現在首位の笹生優花に約900万円差。あと1勝でもすれば、逆転可能な差となった。

会見などでみせる雰囲気とは裏腹に、アドレスに入った際の集中した顔には、別人のようなオーラさえ感じる。小祝がどこまで突き抜けていくのか。今後がさらに楽しみになった。【松尾幸之介】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)

ダイキン・オーキッド・レディースを制し優勝インタビューを受ける小祝さくら(撮影・清水貴仁)
ダイキン・オーキッド・レディースを制し優勝インタビューを受ける小祝さくら(撮影・清水貴仁)