KKT杯バンテリン・レディースでアマチュア竹田麗央(りお、18=熊本国府高3年)が4位になった。

元賞金女王、平瀬真由美(51)のめいっ子。平瀬の姉で、これまたプロの哲子(さとこ、52)の娘はツアー出場まだ4戦目。第1ラウンド(R)でツアー競技初のアンダーパー、71を出すと、翌第2Rでは大会コースレコードタイ記録「65」を出した。

何よりの魅力は「250~260ヤードぐらいです」という飛距離だろう。最終日に同組で回った優勝者、新世紀世代の山下美夢有を40ヤード前後も置いていく場面があった。見た限り、笹生優花にはかなわなくても、原英莉花、渡辺彩香ら飛ばし屋プロとどっこいどっこいか。そんな印象だ。

狙うアングルが違う。ドッグレッグホールでは1人だけ「え? そこ?」と思うような向きで構え、林越えを狙ったりする。身長166センチ、たくましい下半身。スイングのトップは決して深くない。インパクトからフォロー、フィニッシュにかけての「前」が大きい。ミート率は18歳だし、まだばらつきはあるが、芯を食った時は本当にすごい。弾道の高い「ビッグボール」でキャリーが出る。

第1Rスタート前のドライビングレンジで見た時、2球目のドライバーがすごかった。約220ヤード先(紙面で約210ヤードと書いたが、修正します)の高さ約20メートルの防球ネットを越えた。たまたま近くにいた平瀬が「ね、今、越えたよね?」と聞いてきた。「ここ、飛ぶ人はたまにネット越えるんだけど…」と恐れ入ったように笑った。

平瀬はツアー通算19勝で93年から2年連続、24、25歳で賞金女王になった。米ツアー参戦経験もある。ただ、プレーヤーとしてのタイプはめいっ子と違う。豪快ではなく、ステディー。つまり安定した、隙のなさが武器だった。「私は飛ばなかったからね。でも、この子は飛ぶのよ」。何度か一緒に回ったそうだ。「小学校、中学…だったかな。3回ほど。その時から飛ばしてた」。結構教えたのか? 「全然。そこはずっと見てる姉の役目じゃないですか。姉に“スイングはやっぱ打ち込まないとね。払い打ちじゃダメよ”なんて言っちゃったことはあるけど…」。練習中、プレー中に何度もめいっ子を見に来たが、近寄らず、離れて見ていた。たまに動画を撮ったりする。「だって、緊張させたらかわいそうじゃない」。とても大切な存在を見守る気持ちが伝わってきて、心が温かくなった。

平瀬と対照的に、母の哲子は実績あるプレーヤーではなかった。ツアー出場96戦で、ベストフィニッシュは96年雪印レディース東海クラシック19位。優勝、シード経験はなく、予選落ちの方が多かった。しかし、34歳だった02年を最後にツアーから身を引き、同年に導入された「ティーチングプロ資格A級」を取得。その後にLPGAジュニアゴルフコーチの資格も取り、一般ゴルファー、ジュニア、そして娘を教えてきた。

超一流のキャリアを持ちながら、一線を引き、見守る叔母。地道にティーチングプロの経験を積んできた母。粗削りで未知数の18歳がどんな選手に育つのか。わくわくする。【加藤裕一】