おはようございます! 日刊スポーツの火曜日の朝、せれにゃん塾塾長の青木瀬令奈です。例年、バタバタする年度末ですが、今年は新型コロナウイルスの影響で、違う意味で忙しい日々かと思います。ゴルフのエッセンスを読んで、元気出してくださいね。今週のテーマは「距離計算の神髄」です。何度も言うように、ゴルフは飛ばしっ子ゲームではなく、ターゲットスポーツ。距離をしっかり把握して打つことの大切さを改めて考えましょう。

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ヤーデージ杭(くい)から歩測したり、キャディーさんに尋ねたりするしかなかった時代と違い、今ではより正確に残り距離を知る方法がたくさんあります。ピンシーカーと呼ばれるような距離測定器や、乗用カートに積まれたGPS(衛星利用測位システム)などで、苦労しなくても距離はわかるはず。こうなると、わかった距離をどれだけ正確に打てるかが、スコアを左右することになります。

ゴルフ場は、フラットなところばかりではありません。地形の豊かな日本では、フラットでない状況の方が多いと言ってもいいくらいですね。そのため、機械で測った距離がどんなに正しくても、打ち上げや打ち下ろしになると、見た目の距離感とのギャップに悩むことになります。打ち上げや打ち下ろしを計算することも大切ですが、まずはそのギャップを少しでも取り除くことが大切です。これは、慣れですので、感覚を養ってください。

ピンシーカーをのぞいてみると…直線距離、傾斜、実際に打つ推奨距離などが表示されます
ピンシーカーをのぞいてみると…直線距離、傾斜、実際に打つ推奨距離などが表示されます

風の影響の受け方も、打ち上げと打ち下ろしではずいぶん違います。打ち上げの場合は、地面に沿ってボールが飛んでいくことになります。その分、風の影響は受けにくいので、フォローでもアゲンストでも、あまり考えることなく、せいぜい、変わっても1クラブ程度だと思っていて大丈夫です。

打ち下ろしの時は逆に高いボールを打っているのと同じように風の影響を受けることになります。その分、クラブ選択には十分、気を付けてください。フォローでもアゲンストでも、風が強ければ番手を変えるのは1つだけでないことも多いはずです。

ホールレイアウトによって、実際の距離より短く見えたり、長く見えたりするのは、コースデザイナーの技の1つです。けれども、それにだまされることなく、実際の距離をまず、信じて、自分の感覚とのギャップを埋めること。次に、風がどちらからどのくらい吹いているのかをしっかり見極めること。そして、打ち上げなのか打ち下ろしなのかによって、クラブを選択する。最後に、自分のジャッジを信じて、光景に惑わされずに打つ。これこそ、距離計算の神髄、ゴルフの面白さの1つと言っていいでしょう。

見た目の距離とのギャップ克服も大切です
見た目の距離とのギャップ克服も大切です

◆青木瀬令奈(あおき・せれな)1993年(平5)2月8日生まれ、群馬県前橋市出身。実家は音楽教室で、瀬玲奈は「セレナーデ(小夜曲)」から名付けられた。ゴルフ好きの父について7歳でクラブを握る。小技が抜群で、2006年日刊アマ全日本女子に史上最年少の13歳で優勝。11年にプロ転向。17年ヨネックスレディースで初優勝。19年賞金ランキング35位。三和シヤッター工業所属。身長153センチ。

取材・構成 遠藤淳子(清流舎)

撮影 浅見桂子

協力 葛城GC(静岡・袋井市)