季節の変わり目、ゴルフ場も冬から春へと装いを変えています。冬眠していたみなさ~ン! 早くコースに出ましょう。花粉症も吹き飛ばす勢いで上達したいものです。最近では三寒四温という言葉は春先に使われることも増えたようですね。さて、火曜日のお約束、タケ小山のゴルフ即効薬、今週は「芝が違えば打ち方も違う」です。まずは、知ることから! 


その日プレーする芝がどんなタイプか、知ることが大事だ
その日プレーする芝がどんなタイプか、知ることが大事だ

 ゴルファーとは切っても切れない縁がある芝。当たり前のことですが、芝にはさまざまな種類があります。自分がプレーしているコースの芝が、どんな芝なのか知っておくことは、ある意味、コースのレイアウトを知る以上に大切なことなんです。みなさん、ちゃんと気にしていますか? 

 芝について詳しくなれば、プレーの仕方も変わり、おのずとスコアがよくなるのは言うまでもありません。芝は、おおまかに2種類にわけられます。和芝と洋芝です。高麗芝や野芝、バミューダやティフトンは和芝。日本では本州のコースの多くはこれです。一方、寒冷地の北海道などに多い洋芝には、ベントやブルーグラス、フェスキューなどがあります。

 高温多湿という日本の一般的な気候に合っている和芝は、横にはうように生えていきます。俗にランナー(ほふく茎)芝、といわれるのがこれです。だから、ターフをとってもちぎれて飛んでいきます。

 これに対して洋芝は、縦に伸びるいわゆる地下茎という性質を持っています。だから、わらじのようなターフが取れるんですね。これがわかっていると、打ち方も自然に変わってきます。横にはう芝の上にボールが浮きやすい高麗芝の場合はダウンブローに打つ。地下茎のベント芝ではボールが沈んでいるので、これを拾って打つのがいいんです。

 芝質をわかっておらず、どこでも同じように打つとうまくいきません。例えば、高麗でベントのように打つと、フェースとの間に芝がかんでフライヤーになるし、ベントでダウンブローに打てば、クラブが抜けずにダフることになる。

 沖縄は和芝でもバミューダ芝のコースが多く、これは、米ツアー開催コースにも見られます。和芝でもバミューダはまた違う特徴を持っています。沖縄育ちがコースによってアメリカでも結果を出しやすいわけです。

 プロでも、経験がない芝だと苦労するほど、芝によって性質は違います。アマチュアのみなさんも、芝の特性を少しでも理解した上で経験を積めば、ミスは激減するはずです。

 もうひとつ。種類だけでなく芝目の向きを見ることも大切です。これは水の流れと同じだと思えばいいので、ダウンヒルは順目、アップヒルは逆目が基本だと思っておけばいいでしょう。芝を味方につけるのも上達の秘訣(ひけつ)です。


打ち方が分かればスコアも変わる
打ち方が分かればスコアも変わる

今週の処方箋

違いの分かるやつになれ!

 【服用法】 コースの芝の種類はウェブサイトなどでも確認できます。あとは朝の練習グリーン、アプローチ練習場などでチェック。芝質がわかったら、その特性を頭に入れながら、自分のプレーを心掛ければいいのです。


 ◆タケ小山(こやま)本名・小山武明。1964年(昭39)7月7日、東京都生まれ。中大卒業後、プロゴルファーを目指して89年に渡米し、フロリダ州のゴルフ場所属プロとなる。米、カナダ、オーストラリア、アジアなどのツアーでプレー。07年に帰国し、日本ツアーに参戦。08年に早大大学院でスポーツマネジメントを学ぶ。ザ・ゴルフチャンネル、ゴルフネットワークなどでのトーナメント解説には定評がある。TBS系「サンデーモーニング」の「屋根裏のプロゴルファー」として知られる。InterFMの「Green Jacket」(土曜午前5~8時)、文化放送の「The News Masters TOKYO」(月~金曜午前7~9時)などに出演。


◆協力 越谷ゴルフクラブ(埼玉県吉川市)

◆取材・構成 遠藤淳子(清流舎)

◆撮影 山崎安昭