<米男子ゴルフ:ファーマーズ・インシュランス・オープン>初日◇26日(日本時間27日)◇米カリフォルニア州ラホヤ、トーリーパインズGC(パー72)

 【サンディエゴ(米国)=塩畑大輔】石川遼(20=パナソニック)が難コースを攻略し、成長ぶりを結果で証明した。南Cで4バーディー、1ボギーの69をマーク。全体では37位だが、北コース(C)に比べ平均で3・6ストロークも多い南Cを回った選手の中では、7位となる好スコアだった。ショット、パット、戦略、精神面すべてがレベルアップした好内容。マスターズ出場権の確保や本大会での優勝争いへ、大きな手応えが得られた1日となった。

 結果以上の手応えだった。初日を終えた石川は「これくらい普通でしょ!

 なんて冗談です。出来すぎですね」といたずらっぽく笑った。

 平均スコア72・84。南Cを回った選手は、12位までに1人も入れなかったほどの難しさだった。そんな中、石川は正確さを増したショットを軸に、安定した試合運びをみせた。前半の11番パー3で7メートルのバーディーパットを沈めると、その後も終始パーオンを続け、アンダーパーを守った。

 「でも一番の収穫は、緊張が極限に達した時に、普段通りのショットができたということです」。自ら言及したのは、後半5番パー4の第2打だった。右ラフにボールが沈むピンチ。だが4番に続くボギーなら、一気に流れが悪くなる。

 石川

 ピンを無理に狙って、グリーン右バンカーに落ちたら終わり。絶対に安全なグリーン左サイドをとらえなければならない、という重圧があった。でも練習場と同じようにショットできて、思った通りの場所にボールを落とせた。

 今週も夜明け前から練習場に現れ、照明の下でボールを打ち続けた。暗闇で黙々と練習する姿は、運営スタッフの注目の的だった。ベッドに入っても、理想のスイングを繰り返し思い浮かべてから寝る。そうした努力がついに「無心のスイング8」として実を結んだ。

 「今まではそれができなかったから、場面を問わずピンを狙って打っていた。それが攻撃的だとたたえられることもあったけど、自分としては違うと思っていた」。今大会の予選通過や好成績が見えたからではない。ゴルファーとしての理想の境地へ向かう、大きな1歩を踏み出せたという強い自負が、石川の言葉にはみなぎっていた。