高校2年の安田祐香(16=洲本GC)が、涙の初優勝を飾った。最終日に1イーグル、6バーディー、1ボギーの65という好スコアを出し、通算14アンダー。元NBAのスター選手であるマイケル・ジョーダン氏の「恐怖心は幻想」の名言を胸に、第3日まで首位を走った新垣比菜(18)との4打差を逆転した。現役女子高生のスター候補生が、アマチュア女王に輝いた。

 表彰式の壇上で言葉が詰まった。安田の目に涙があふれる。「負けて泣くことばかりだったから。うれしくて泣いたのは初めてです」。無名の高校2年生が大逆転で輝いた初のアマチュア女王。スタート前に父光祐さん(52)から教えられた元NBAのマイケル・ジョーダン氏の「恐怖心は幻想」という言葉。それが逆転劇を演出した。

 最終日が苦手だった。光祐さんは「(最終日が)ダメだと恐怖心を抱いてはいい方向にいかない。一流はこうするという精神面を伝えたかった」という。中学3年だった05年はマッチプレーで勝みなみに敗れ8強止まり。昨年も最終日に4オーバーと崩れ12位。県レベルでは優勝できても、関西や全国に出ると勝てなかった。苦手の最終日を克服し1イーグル、6バーディー、1ボギーの65という好スコア。最終18番パー5では10メートルのパットを沈めるイーグルで締めくくった。

 「思い出に残る1日になりました。なかなか日本のタイトルが取れなかったので、心の底からうれしい。一緒にまわっている選手のスコアしか知らなくて、上がってきてから(優勝を)知りました」

 人気の美女ゴルファー堀琴音が育った兵庫・滝川二高に在学。普段はカラオケで6人組ダンスグループ・Flowerの曲を熱唱する普通の女子高生だ。公園のパターゴルフから始め、アマの頂点に立ち「宮里藍さんみたいにたくさんの人に応援される選手になりたい」。9月の日本女子オープンの出場権も獲得。16歳の夢は果てしなく広がる。【益子浩一】

 ◆安田祐香(やすだ・ゆうか)2000年(平12)12月24日、神戸市生まれ。3歳上の姉美祐さん(大手前大)の影響で7歳からゴルフを始める。小学3年から坂田塾に入門。神戸市立原田中から滝川二高に進学。12年兵庫県ジュニア、16年兵庫アマを制覇。今年の兵庫県高校総体で個人、団体ともに2連覇。ドライバー平均飛距離230ヤード、ベストスコアは62。目標はステーシー・ルイス。164センチ、54キロ。